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第八十三話 この行列は捌けません

再開した日の午後から依頼のお客が増えて来た。それも初めて来てくれた新規のお客が多く嬉しと思っていたが、だんだんと依頼の対応だけで時間が取られ、作業に入れなくなってきた。

不思議に思い外に出てみるとかなりの行列が出来ていて見ただけで唖然。かなりの行列が出来ていた。


「英雄様にこれをお願いするの」

「こりゃ相当掛かりそうだな」

「そりゃ英雄様の店だからな」

「さすが英雄様だな」


などと声が聞こえてくるがそれどころではない。どこかで断らないと仕事が出来ないと思い、急いで開店当初に使った整理券を出してきて配り、『クリーニング依頼の本日分整理券の配布は終了しました。申し訳ございません』と張り紙を出し、券を渡した人には「お引き渡しは明後日以降になります」と説明をしつつ受付が終わったのは15時位だった。

山となった依頼品。これだけの数を終わらせるのに明日だけでは無理そうだと感じたことから、追加で『明日のお引受はお休みします』と書き込み、改めて読み返したら文章が変で恥ずかしくなった。


日が暮れる前に少しでも多く作業を進めないと今夜も徹夜になりそうだ。


似たような依頼品を分類する作業をしていたら開店の頃を思いだした。あの頃は確か新品のようになって戻って来たと噂が広がったんだったよな…… 今回は英雄の店だとか言われてたな……

やっぱパレードの影響だろうか?? そんなことより今は一つでも多く終わらせることだ。


仕分けが終わった時には外は真っ暗になっていて外での作業は無理だと思っている所にミハルさんがやって来た。


「晩御飯持って来たわよ。どうせ食べてないんでしょ」

「ありがとうございます」


言われて気が付いた。今日は朝に食べただけで夜は食べていなかった。あまりの忙しさに忘れていた。


「今日は大変そうだったわね。英雄さん」

「英雄は止めてください……」

「お蔭でうちも大繁盛だったわ」

「どうしてですか?」

「英雄御用達の店って張り紙を出したのよ。そしたら英雄様は何を食べてるのって聞かれるから、チョコラ君の好きなメニューベスト3って張り出したのよ」

「…………」

「どうかした?」

「いえ、さすがミハルさんだなと…… うまいっ亭が儲かれば俺も嬉しいです」

「ありがとう。明日も作業に集中するようね。また持って来てあげるからちゃんと食べるのよ」

そう言うとミハルさんはかえって行った。本当に良い人たちと知り合えた事に感謝しながら食事を済ませた。


それからしばらくの時間を家の中で出来る物を中心に作業を進め、後は翌朝から始めることにして今夜は寝ることにした。


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