第八十一話 パレードのその先は・・・
あけましておめでとうございます。
昨年はたくさんの方にご支援を頂きありがとうございました。
今年も楽しく読んで頂けるように頑張って参りますので
引き続きご支援を頂けますようにお願いを申します。
皆様にとりまして、健康で笑いが絶えない幸多き年となりますように祈っております。
沿道の歓声を受けながらゆっくりと馬車は進んでいく。隣に座る王太子殿下がニコニコしながら俺の手首を掴んで勝者を称えるかのように上げているが、俺は恥ずかしくて顔を上げることが出来ないでいた。
馬車がどのルートを通っているのか…… 気が付いたら王宮で馬車が停まった。どういう事だ……
「なんで王宮なんだ?」
「陛下が今回の事でお礼を伝えたいそうですから」
「初めて聞いたし……」
「はい。黙っていましたので。もし言えば馬車に乗ってもらえませんでしたよね?」
当然だよ。聞いていたら絶対乗っていない。そんな俺の様子を見ながら殿下は悪戯が成功したかのように嬉しそうな顔をしていた。
「チョコラ殿。此度の働き感謝する。楽にしてよいぞ」
「陛下に於かれましてもご健勝で嬉しく思います」
なんでこうなってのか…… 庶民が陛下に謁見など一生無いはずなのにすでに二回もしてしまった。
前回は第二王妃の件で親の顔も見せていたけど、今回は陛下の顔そのものだ。
「例の盗賊団は我が国においても十数年間の懸念であった。商人や旅人からも早急な対策をと陳情が絶えなかったがこれで安心させることが出来た。本当に感謝する」
「いえ、本当にたまたまですのでこのような場を設けて頂き恐縮です」
「そうか。しかし、そちを呼んだのは他にもあるのだ。今回の事で貴族たちがそちを取り込もうと新たな動きが有ると聞き及んだ。第二王妃の時に約束した件もあってそちの存在を隠すより、公にして国民の目に触れさせる事で貴族共が手を出しにくいとのではと王太子からの助言もあってこういう形を取らせてもらったが許せよ」
「おれ…私の事をお考え頂きありがとうござます」
「詳しい事は王太子から説明を聞くとよい。此度の件。誠に大義であった」
陛下との謁見も終わり、王太子が家まで送ってくれた。
いつもなら居座る王太子が今日は直ぐに帰ろうとしたのを引き留めた。詳しい話を聞かなければ落ち着けやしないうからね。
「それで殿下。陛下も殿下から詳しい話を聞けと言われましたが、どう言う事でしょうか?」
「それは……チョコラ殿のチートに原因が在るんです」
「おれに?」
「はい。チョコラ殿の補正か補修かは分かりませんが、清掃をすると新品同様になると言う事が、すでに巷では有名なお話です。貴族たちはその力を欲しがっていて、国としては軍事的利用をされることを一番心配しています」
「俺はそんなのに手は貸しませんよ」
「もちろん分かっています。国としても簡単に手出しが出来ないように考えていますが、称号に加え今回新たな功績を上げた事で王室だけでは守り切れないところまで来ています。そこで、大衆を味方につけることで貴族を牽制しようと考えたのがチョコラ殿を英雄として迎えようと言う事なのです」
「それでこのパレードなんですか……」
「そうですね。概ね成功と言えるでしょう。しかし、これも一時です」
「…………」
まさか盗賊を捕らえた事でこんな事になるなんて誰が思っただろうか……




