第七十九話 盗賊達の報奨をもらいました
ルーバの背に乗り走る事2日目。盗賊を引き渡した街に着いた。行きは急いでいた事も有り知らなかったが、この街はディガスと言って、この国で5番目に大きな街だった。
殿下からも別れ際にディガスの憲兵署に寄るように言われた事も思い出し、街に入る時に門番さんにその場所を聞いた。
憲兵署の場所は凄く分かりやすかった。門を潜り中心に向かって歩いていくと大きな木が植えてある広場に面した所にあった。
中に入り、受付のような所で名前を告げると待ってましたとばかりに署長室に連れていかれた。
「チョコラ殿ですね。お待ちしていました。この度は『夜烏の群れ』を捕らえて頂き感謝します」
「いえ、自分の身を守るためにしただけの事ですから……」
いきなり感謝されて困惑してしまった。
「しかも、盗賊団の全員を大きな怪我もさせずに捕らえるなど、どうやったのかお聞きしたいくらいですよ」
あぁ……あれはルーバの提案だったよな……
「あの時は、土魔法で作ったテントを爆発させてその破片が盗賊に当り倒れたところで牢を作り
纏めて放り込んで連れて来ただけでして……」
「ほう~ 土魔法が使えるんですね。素晴らしい。しかも撃退の発想も見事ですな」
「あ……ありがとうございます」
「それでですね。盗賊団は王都に送られたら後、然るべき刑が施されました。長年の懸案が解決したことでチョコラ殿には報奨金が出ておりますのでお受け取り下さい」
渡された報奨は驚くほどの金額だった。いくらかは教えないけど。実家に置いて来た金額の倍は軽くあった。
「……こんなにも良いんですか?」
「はい。盗賊団全員を生きたまま捕らえてくれたことで、この国の法に則り処罰する事が出来ました。これは国民へ広く知らしめる事が出来た事と他の盗賊達への牽制にもなります。要は犯罪に対する国の毅然とした姿勢を示すことが出来ましたから、それゆえの謝礼も含まれております」
「そうなんですか……」
「それと、王家の親友であるチョコラ殿が解決したと在って、この街でもかなりの話題ですよ」
「はい???」
思いもしない署長の発言に心臓が止まりそうになったよ。
今日はこの街で泊まるつもりにしてたけど早々に退散した方がよさそうだ。
そう言えば、門番さんが妙にニヤニヤして愛想が良かったけど……まさかね。
それから王家の親友殿をおもてなししたいと言う署長の誘いを丁寧にお断わりをして再びルーバの背に乗った。
王都で待ち構える民衆の熱気を知らないままに……




