第七十二話 俺も本職なので有料ですよ
昨夜は村の人から色々せがまれたが、酔っ払いの戯言と聞き流して置いた。まともに引き受けていたら滞在期間中には終わらないからだ。
朝食を終え、今日は何をしようかと考えていたらノックの音がした。誰か来たのだろう。
ドアを開けると、隣のロンじいさんが立っていた。
「朝早くからすまぬのぅ」
「いえ、みんな畑に行ったから誰も居ないんだけど、どうしよう」
「いや、チョコ坊にお願いが有って来たんじゃ」
ロンじいさんのお願とは家の補修を頼みたいとの事だった。
この村には大工は居ない。家も村人達が協力して作っている。そこはお互いさまで協力をしているが、修繕となると話が変わってくる。一から作ることは大変だけど、部分的な修理は個人でやるのが暗黙のルールとされているからだ。ロンじいさんのように年寄りたちはそれが出来なくなってくるのだ。
どうしてもと言う時は村長と相談をして村人に頼むことも出来るのだけど、かなりのお礼が必要となる。みんなの仕事を止めることになるから補償が必要になる。
畑仕事が出来なくなったロンじいは、現在薬草取とポーション造りで生計を立てており、家の修繕を村に頼めるほどの蓄えが出来ない状態らしい。だから村に頼みたくても頼めないのが正直なところで、掃除をするだけで補修までできる俺に頼みに来たのだった。
「話は分かったけど、俺もこの仕事を生業としてやってるから、全くのタダでは出来ないよ」
「もちろんそれは分かっておる。どれだけ必要じゃ?」
「王都では一個銅貨5枚でやってるんだ。だけどみんなはそれより多く置いていくから俺にも相場が分からないんだ」
「銅貨5枚か……それならワシにでも払える」
「お金でも良いんだけど、せっかくだからロンじいが作るポーションを貰えないかな」
「そんなんでいいのか?」
「うん。王都で買うと結構するんだよね。だからロンじいがくれたら俺も助かるからさ」
話もまとまり、その足でにロンじいの家に行くとに。
家を見ると屋根はかなりボロボロで所々穴も開いていた。壁も落ちていて正直、いつ崩壊してもおかしくない程に痛んで居たから早々に補修チートを発動させ作業に入ることにした。
まずは屋根からだ。今日中に全部出来なくても、屋根さえ終わっていたら雨が降っても雨漏れはしなくなるからだ。ロンじいに梯子を借りると、倒れないように紐で固定して、梯子に乗った位置から出来る範囲をデッキブラシで汚れを落としていき、それから石鹸水を撒いて更に磨いていく。水魔法で汚れを洗い流していった後には綺麗になって、補修された屋根が出来たのでそこを新たな足場にして作業を進めた。さすがに傷みが酷かったので屋根だけで一日が終わってしまった。




