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第七話 看板をクリーニング?

時計を見たらまだ開店まで30分もある。


俺は石鹸水のバケツとタワシに雑巾を持つと外に置いてある看板の掃除をしようと店を出た。


『クリーニングを開始。補正機能始動』


???また変な声が聞こえて来た……?


それよりも看板の掃除だ。


看板は土埃が固まって店名も読めないほど汚れていた。

早速タワシに石鹸水を付けて土埃を落としていく。何度もタワシに石鹸水を付けひたすら擦ると、だんだんうまいっ亭の文字が見えて来た。時間と共に土埃も落ちやすくなってきて、磨き始めて10分位で綺麗に汚れが落ちきり、太陽の陽に反射して輝き出した。


しっかりと水拭きをして看板掃除は終わったけど、本当は暖簾も洗濯したかった。もう時間も無いから昼休みにでもしようかと思っていたら、開店時間が迫って来たのかお客が集まり始めたので、急いで中に入り開店の時を待つことにした。


開店と同時に入って来たお客が店内に入るなり「なんじゃ~ 改装でもしてたのか!」と叫んでいた。

他の客からは「おいおい……値上げは勘弁だぜ」とか「こりゃ、敷居が高くなったな……」などと言いたい放題のように口々に感想を零していたよ。


するとミハルさんが「これねぇ~、全部チョコラ君が掃除しただけなのよ」

「はぁ~嘘だろ。あれだけの汚れだぞ」

「汚くて悪かったわね!」

「あっ…いや……そうじゃなくて……」

「良いわよ。その通りだったから」

「でも、たった一日でこんなに変わるのか?」

「そう言えば、表の看板も新品に替えたのかと思ったぞ」


ミハルさんが慌てて表に出て行き「どうなってんの????」って声が厨房まで聞こえて来た。

その声にタージさんも調理の手を止め「どうした」と言いながら表に出て行った。


少しして戻ってきた二人に「チョコラ、お前さん看板も掃除したのか?」と聞かれたから「しました」と答えたら、「やっぱりか……」とタージさんからため息混じりの声がした。


昼の営業を無事に終わったところで直ぐさま暖簾を石鹸水に浸けて置いた。食事を終えたら洗うための下準備だね。


今日もタージさんが賄いを出してくれ、三人で一緒に食べている時にタージさんから声を掛けられた。


「チョコラ。お前さんが掃除した所がことごとく新品同様に綺麗になった。ありがとう。まずは礼を言わせてくれ」

「ほうとうにありがとう」

「それでな……昨日お前さんが言っていた「適職はクリーニング」の意味だけどな、もしかしたら掃除とか洗うとかそんな意味じゃないかと思うんだ。だとしたら、お前さんが洗った皿や掃除した店の中の出来事に納得がいくんだ」

「そうなのよ。私たちが同じことをしてもあそこまで綺麗にならないわ」


俺は誰が掃除しても綺麗になるもんだと思っていたから、言われて初めて気が付いた。



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