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第六十九話 6年ぶりに帰ってきました

盗賊事件の後は特に何もなく進む事ができ、ルーバが言ったように家を出てから10日目には故郷の村に着いた。


村に入ると懐かしい顔を見るたびに「元気にしてたか」「懐かしいな」などと声を掛けられたけど、俺の家が大変だと言うような事は聞かなかった。普通なら6年も帰ってなかったのでそれなりの事を言われてもしょうがないと覚悟を決めていた分拍子抜けだ。


途中、村長にも合ったが家が大変な事になっているような事は何も言わないどころか、「サンドラとルシーが喜ぶぞ」と笑っていた。


サンドラとルシーと言うのは俺の両親の事だ。


どこか不審な思いが頭を過ぎりはじめたところで、実家に着いた。


ドアを叩くと直ぐに開けられ、母が出て来た。


「チョコラ~~ やっと帰って来たのね~~ 待ちくたびれたわよ~ さぁ、入って入って」

「……元気そうだね」


母の勢いに押され、やっと言えたのがこれだった。


「私は元気よ~ 父さんもラディンもユシルもね」

「そ…それは何より……」


ラディンとユシルは俺の兄だけど、みんな元気ならあの手紙は何なんだろう?? 


「おう! チョコラが帰って来たんだってな」


扉が開けられ、父さんが入ってきた。それに続き兄さんたちも……


「元気そうじゃないか」

「もっと早く帰ってこいよな」

「そうよね。母さん寂しかったのよ~」


歓迎されてれるのは分かったんだけど……やはり聞かないといけない


「母さん。みんな元気なのは良いけど、手紙の直ぐ帰れって……何か有ったんじゃないの?」

「あぁ~あれね。何もないわよ。ただチョコラの顔が見たかっただけよ」

「何だよそれ。凄く心配したんだぞ。誰か病気かとか、不作で税金が払えなくなったとか……」

「みんな元気で、今年も豊作よ。お金は年中困ってるけど、生活は困ってないわ」

「俺の心配を返せ!」

「なによ。親が子供の顔を見たいと思ってはいけないの! この6年、手紙も無し、顔も出さない。こっちが心配してたのなんて知らなかったでしょ! これ位のイタズラは許されるはずよ」


かなりのハイテンションで叱られた……


「そうだぞ、王都に着きました。教会でお世話になってます。だけじゃな……」

「そうそう。それっきり音沙汰無し。手紙も無ければ帰郷も無し。そりゃ怒られて当然だな」


母さんの肩を持つ二人の兄をジト目で見るがスルーされた。

父さんと言えは「これで母さんの機嫌がよくなる~~」と喜んでいる。どうなってんだか……


久し振りの対面を半ばケンカ腰でしていると「さぁ~ 6年ぶりに家族が揃ったんだから、何か美味しい物を作らないとね」と言いながら母さんはキッチンへ向かった。


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