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第六十八話 ルーバ。盗賊を引き廻す

吹き飛んだテントと気絶している盗賊。ルーバの狙いがこれだったのかとやっと気が付いた。

初めから逃げる気など無かったのだ。


『おい。奴らが起きる前に縛ったらどうだ』


呆れている俺にルーバが言った。


20人程いる盗賊全員を縛れるほどのロープを持ち合わせも無かったので、創造スキルと土魔法で牢を作り、全員をそこに入れた、明日にでも最寄りの町の憲兵に渡すことにした。


盗賊を捕まえた事で俺たちはこのままひと眠りするため焚火を起こし、ルーバを枕に眠りについた。


朝日の眩しさに目が覚めた。盗賊達も目を覚ましたらしく牢の中で暴れていた。しかし、ルーバが補強を掛けてあるから簡単には壊れない。出せとか殺すぞとかいろいろ喚いているが相手にしないことが一番だ。それより朝ご飯を作ろう。食べさせないとルーバがうるさいからな。


用意が出来た頃にルーバが起きて来た。レーちゃんは昨日から胸のポケットに入ったままだからそっと出してやり、一緒に食べる。


俺たちが食べて居る処を見ていた盗賊達が食べたそうにしていたが、昨日の仕返しとばかりに無視することにした。本当はそんなに食料を用意していないからだけどね。


悪いけど、片付けを終えたら出発だ。盗賊さん達のご飯は憲兵さんから貰ってね。


牢にロープを付けて、ルーバと結ぶ。それから風魔法で牢を浮かせて引っ張るとスムーズに移動させることが出来た。だけど、走るスピードが速すぎて盗賊達は目を回していた。中には表現がしがたい惨状の人も…… うん。初めての経験だから恥でも何でもないよって呟いてしまった。


一番近くの村には憲兵が2人しか居なくて「こんな人数は無理。対応できないから、そのまま隣町に連れて行ってほしい」と言われ、次の町に進む。次の町も「牢が狭くて全員を収監出来ないから」といくつもの町や村に断られ、翌日に着いたそれなりに大きな街の憲兵さんにやっと引き渡すことが出来た。もちろん食事は食べさせてないよ。だってもう一度言うけど、あげる食料自体が無いもんね。


引き渡し時に盗賊達が涙を流しながら「もう悪い事はしません」「死ぬ思いはしたくない」「何か食べさせて下さい」などと言いながら、最後には「貴方は神だ」と憲兵さんに感謝していた。


気持ちはわかるけど、どこか納得できない思いだよ……。


この盗賊達は『夜烏の群れ』という窃盗集団で懸賞金が付いたA級手配されている連中だと教えて貰えた。そんな凄い集団ときいて今さらながら震えが戻って来た。

憲兵さんが言うには全員を捕まえた事で報奨金も上乗せされるそうで、支給までに3日は待ってほしいと言われたが、先を急ぐ旅で、帰りにまた立寄る事を約束して俺たちは先に進むことにした。


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