第三十九話 寝たきりの王妃様
国王陛下からの依頼を受け、綺麗な布とお湯を用意してもらい王妃様の寝室へと案内をして貰った。作業中も陛下自ら立ち会われると言われて俺も同意した。
王太子殿下も立ち会うと言う事でベッドを隠すように衝立が立てられ、衝立の外側に王太子殿下が控えられ、王妃付きの侍女にも手伝って貰い寝間着を外し、改めて布団を掛けておいた。
《 クリーニング開始。補正能力。再生・創造を始動》
久し振りに聞こえた空耳でこの状況に緊張している自分が居る事に気が付いた。
王妃様の寝顔を見ていた時は何とも感じなかったけど、寝間着を脱がせた時にその肌を見て違和感を受けた。王妃の肌がくすんでいたのだ。
俺はルーバに想念で話しかけた。
「ルーバ。もしかしたら毒反応かも。お前も見てくれないか」
『わかった。見てやろう』
「陛下。作業の前に一つお願いが御座います」
「何なりと言うが良い」
「ありがとうございます。外で控えさせている私が連れて来た犬をココに連れて来てもらえませんか」
「犬とな? 何かあるのか?」
「はい。とても大事な事なので」
「犬を連れて参れ」
直ぐにルーバが連れて来られ、一緒に王妃様を見た。
『間違いないな。これはフグリ草の毒だ。死には至らないが仮死状態にさせる。しかし、こんな長期間も効き目が続かないぞ』
「それは今でも飲まされていると言う事か?」
『分からんが、定期的に飲まされている事には間違いないだろう』
「店主。手が止まっておるがどうかしたか?」
「はい。陛下。申し訳ありませんが王太子殿下以外、お人払いをして頂けるでしょうか」
陛下の命で侍女たちが下がって行った。
「これで良いか」
「ありがとうございます。これから私なりの清拭をさせて頂きますが、その後に大事なお話があります。その前に今の王妃様のお肌の色をご確認して置いてください」
足元だけ布団を捲り二人に肌の色を確認をして貰ってから作業を始める。イメージは解毒。
用意してもらった布をお湯で濡らし、足先から上に向かって拭いていく。毒素が口から抜ける様に……
手も同じように指先から肩に向かって吹いていく。問題は陛下以外には触れてはいけない部分だ。ここをどうするか……
「何を悩んで居る。これは仕事だ。遠慮せずとも良い。王妃の大事な部分も綺麗にしてやってくれ」
陛下から思いもよらぬタイミングで声を掛けられた。
前面を拭き上げたところで、背中側を向けるため陛下にもお手伝いをして貰った。
前面と同じように口から毒素が抜けるイメージをしながら口から遠いところから拭いていき作業が終わった。再び仰向けに戻してから王妃様を見ると肌の色も薄ピンクで血色も戻り毒素も抜けたように思えた。ルーバももう大丈夫と言いたげに2度頷いてくれた。