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第三十八話 王城に呼ばれました

《 洗濯屋・想いで 》の前に一台の馬車が止まった。


「店主殿はおられるか」外から大きな声が聞こえきた。

何事かと出て行くと「その方がここの店主殿か」と聞かれた。


「はい。店主のチョコラです」

「貴殿に国王陛下よりの王命を伝える。早急に登城せよとの事である」

「えっ? 登城ですか……? なぜですか??」

「私は使いの者ゆえ用件までは聞いておりません。この馬車でお送り致しますのでご同道願います」


俺はルーバの同行をお願いして取り敢えず馬車に乗り込んだ。



王城に到着すると王太子殿下直々に出迎えられ、ルーバの王城内の立ち入りもゆるされた。

それには、認めなければ用件はこの場で聞くと言い張ったからだ。もちろん処罰が怖くなかったと聞かれると嘘になるが、ルーバと離れる方がリスクが高いと思ったからだ。俺にとっては一番安心できる用心棒ならぬ用心犬なのだ。


王太子殿下に連れていかれたのは個人的に使われているような部屋だった。


「店主殿には突然の呼び出しをして申し訳なく思う。まずはお掛け下さい」と椅子を勧められた。


「実は、店主殿にお願いがあって来てもらったのだが、聞いてもらえるだろうか」

「あの……俺…私は一介の洗濯屋で、俺…私に出来る事が有るのでしょうか?」

「無理に言葉を改める必要はない。普通にしてくれて構わない」

「ありがとうございます。そこだけはお言葉に甘えさせて頂きます」

「間もなく陛下が来られ直接此度の件を話される。それまで寛いでいてくれ」







「王太子よ、それは真か」

「はい。調べによりますと回復の能力を持たれているようです。街の噂では大怪我を負った犬も翌日には元気にさせたとか」

「王妃を犬と一緒にするな」

「申し訳ありません。ですが、生き物も回復させたのであれば望みもまた」

「わかった。早々にその者を連れてくるが良い」

「陛下。二つお願いが御座います」

「申してみよ」

「はい。一つは王妃様の治療ではなく、あくまで清拭をお願いすると言う事。二つ目は結果が出なかった場合でもその者にお咎めは無いようにお願いします」

「あいわかった。清拭の時は我も立ち会うぞ」







「陛下のお越しです」


扉の外から声が掛けられと同時に陛下が入って来た。俺は立ち上がり礼を取ろうとしたけど、陛下に止められた。


「そのままで良い。その方には急な呼び出しをして申し訳ない」

「いえ。陛下に仕えるのは国民の義務ですからお…私に出来る事なら何なりとお申し付け下さい」

「そう言って貰えて余も救われる」

「それで、私に願い事が有ると聞いておりますが、どのようなお話でしょうか?」

「その方に頼みたいのは王妃の清拭じゃ」

「王妃様の清拭ですか?」

「噂によればその方がどんなもの物でも甦る程に綺麗にするとか。寝たきりの王妃を綺麗にしてやってくれ」

「……しかし、私は男ですから王妃様のお肌に触れることなど……」

「構わん。余の直々の頼みだ。咎めだてはせん」

「わかりました。精一杯やらせて頂きます」


ほんと心臓が止まりそうになるほどにまさかの依頼だった……


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