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第三十六話 不穏な動き

宮殿に戻った王太子はチョコラの調査を命じた。特殊な能力をきっと持っているはずだと確信していた。そして近衛隊副隊長のカルラから聞き出した話の中で、綺麗になるだけでなく強度が増したとか、切れ味が良くなったと聞いた時、チョコラの持つ能力を利用できると確信していた。





『チョコラよ。お主、何者かに見張られておるぞ』

「えっ、見張られてるって??」

『やはり気付いておらなんだか。この間カルラが来た翌日から2人の者がお主を監視している』

「そうなの?」

『心当たりは有るか』

「……きっと王太子殿下かも。俺の能力をしつこくきいてきたから」

『そうか。追い払うか?』

「いや、もう少しだけ気付いてない振りをするよ」


ルーバから聞いたことで、どう対応して良いのか分からなかったのでタージさんに相談することにした。


「たぶんチョコラの能力を軍事的な利用が出来そうだと王太子が考えたのだろう」

「軍事利用ですか?」

「たぶんだがな。お前がクリーニングすると新品と変わらないからな。だから騎士団も近衛隊も手入れを依頼してきたんだ。それで王太子が目を付けたんだろう」

「でもそれだけでしょ?」

「それだけならまだ何とかなる。問題なのはルーバの怪我も治してしまったことだろう。それが知られると軍医として利用される可能性がある」

「あれはルーバの回復力のせいだと思うけど……」

『お主の力だ』

「そうなの?」

『あのまま放置されていたら吾輩は死んでいた』

「とにかく、お前の能力は隠さなければならない。いいな。出来るだけ家の中で仕事をしろ。こちらが気付いた事を悟られんように徐々に家の中での仕事時間を増やして行けよ」


そう言われてから少しづつ土間で作業をするようにした。灯り用の油代が掛かるが仕方がない。

まったく迷惑な話である。





「どうであった。何か判ったか!」

「申し訳ありません。未だ不明でございます」

「何か変わった事は無かったか」

「はい。しいて言えばこのところ庭での作業が短くなっております」

「そうか……気付かれた様子は」

「それは無いかと……」

「焦って気付かれるなよ。引き続き調査を進めろ」





ルーバは相変わらすチョコラ亭で客寄せをしていた。だけどいつもの愛嬌は影を潜め。周囲の警戒に気を使っていたことにタージから注意を受けた。


「ルーバ。そんなに気を張っていたら逆に悟られるぞ。いつものように振る舞え」

『……すまぬ』

「チョコラを守りたいのは分かるが、向うが知りたいのはチョコラの能力だ。直接手は出してこんから安心しろ」



それからしばらくは監視との根競べが続くのだった……。


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