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第三十話 お店の看板

初めて聞いたうまいっ亭の由来。そうか。タージさんはミハルさんへの感謝と思いを店名に込めたんだと思った。


俺はどうしようか……


開店してから今日までの事を考えてみた。多くのお客さんが何らかの思い出の品を大事に持って来てた。そして出来上がりを見て涙する人も居て驚いた事も有ったけど、それぞれがそれだけ大事にしていた物だってことにかわりは無い。


そうだ。これからもみんなの思い出の品を大切に出来るお手伝いをしたいからこの気持ちを伝えられる名前にしよう。


「タージさん。ミハルさん。今思い付いたんだけど、洗濯屋・想いでの品ってのはどうかな?」

「思い出の品とはどういう意味だ」


タージさんに聞かれ、さっき思った事を話したらミハルさんから提案があった。

「洗濯屋ではゴロが悪いから、屋を取って洗濯・想いでの品にしたら?」

そしたらミリアさんも「屋は大事よ。それより品が要らないわよ。だから洗濯屋・想いではどう?」と言いだし、みんなで相談した結果ミリアさんの案を使わせてもらう事になった。


俺は想いでを大事にしてもらいたいだから満足のいく店名になった。


「洗濯屋・想いで。いいですね」

「じゃ~ さっそく看板を付けないとな」


うまいっ亭の常連さんに看板屋さんが居るからとタージさんが話をしてくれることになった。

何だかんだとお世話になりっぱなしだ。お礼にまたお店の掃除でもしようかな。

だって俺に出来るのはこれ位しかないから……




それから数日して《洗濯屋・想いで》の看板が掛かった。


お客さん達から良い名前がついたな。とか、今まで名前が無かったのか……とか色々言われたけど

お客さん達にも喜んで貰えたようでうれしかった。


看板を出したことで、今までよりも多くの人が思い出の品を持って来てその度にその品に纏わる話を聞かされることになったのは誤算だったけど、それぞれの品に思いが詰まった物ばかりでより大事に扱わないといけないと看板を見ながら改めて心に刻んだ。


さて、今日も精一杯丁寧な仕事をしよう。思い出の品が綺麗になって戻って来るのを楽しみに待っている人に早く届けてあげたいし……。


『どうした。嬉しそうだな』

「こうして看板を見てると嬉しい気持ちになるんだよ」

『そんなもんか? 人間の心はわからん』

「良いんだよ。俺が嬉しいだけなんだから」

『そうか。吾輩は隣で飯でも食って来るとするか……』

「あまりお客に強請るなよ」

『吾輩は強請っておらんぞ。横で尻尾振ってるだけで貰えるからな。楽なもんだぞ』


ルーバとのこんなやり取りも定番化しつつあり、穏やかな一日の始まりを感じていた。


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