第二十八話 騎士団長怒られる
団長に騎士団の仕事を3か月はしないと言った後、団長があれやこれやと言い訳したり、なんとか仕事をして欲しいと縋りつくかのごとく謝っていたからそろそろ許してやろうかなと思っていたら、近衛隊の副隊長が「いい気味ですね。誇り高き騎士団長が市民を騙すような事をするからです」と傷口に塩を塗り込んでいた。
「……返す言葉も無い」
「当然でしょう。これが国王に知れたら首が飛びますよ」
えっ?そうなの?? そんな大事になるの??
「副隊長さん。もう良いじゃありませんか。かなり反省しているようだし……」
「チョコラ殿は甘いです。多くの人の依頼を止めてまで自分たちを優先させたんですよ」
「そうなんだけど……でも最終判断をしたのは俺だし……」
「この事は国防大臣には報告させて頂きますからね」
「そこまでしなくても良いんじゃないか。俺はこの場限りで治めたいんだけど……ってか、大事にするってか、国が関わってくるなら俺は国の仕事はしません。そうなると近衛隊のも引受る事が出来なくなりますよ」
「いや、それは困る……」
「だったら今回は団長のイタズラってことで良いですよね」
「……チョコラ殿がそこまで言うのなら……」
「本当に申し訳なかった」
なんとか副隊長を宥めて二人には帰ってもらった。もちろん団長には仕上がり分だけでなく預かり分もお持ち帰り頂いた。そうしないと副隊長がまた怒り出しそうだったからな。
それよりも仕事始めないと……
その後、騎士団では未仕上げの武器や防具を持ち帰った団長が副団長に詰問される事になった。
「団長、これはどういうことですか?説明してください」
「あっ…いや…これは……だな…」
「これは……何ですか?」
「いや…そのだな……」
「はっきりおっしゃってください。どうせまた可笑しなことをしたんでしょうけどね」
「可笑しなとは……」
「違うんですか? なら何ですか?? ちゃんと説明してください」
事の経緯を詳細に聞き出しだ副団長はお怒りモードにシフトチェンジをしたかのように……
「あなたはバカですか? バカなんですか? バカですよね。いや、バカです。バカとしか言いようがありません。もうバカ決定です。これからはバカ団長と呼ばせて頂きます。良いですねバカ団長。文句はありませんよねバカ団長。もうバカ団長で決定しましたからバカ団長」
「あっ…いや……」
「何か言いたいことでもあるのですか? バカ団長」
「……すいませんでした」
「これからこの件は私が担当致しますからバカ団長は部屋から出ずに書類の処理でもしていてください。良いですねバカ団長」
「はい……」
「ところで、そのクリーニング屋は何というお店ですか?」
「……場所しかわからん」
「……ほんとバカ団長ですね」
実はまだ屋号が決まっていないことを知らない2人でした。