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第二十六話 新しい家

謎の女性から「クリーニングをなさい」と言われてから約3ケ月。うまいっ亭での開業から騎士団・近衛隊との契約とうまいっ亭の隣の家を売って貰ったりと順調すぎてこの先何か悪い事でも起こるのではないかとつい考えてしまう。


『お主、浮かない顔をしておるがどうかしたのか?』ルーバが心配して聞いて来た。

「いや、なんかすべてが上手く行き過ぎてる様に思えて逆に心配って言うか……」

『人間は面白いな。上手く行ってる時に不安を感じるんだ。では上手く行っていない時は安心感が生まれるのか?』

「……それはそれで心配だけど……」

『良いか。自然界では自然の流れに身を任すのが摂理だ。上手く行ってるときは素直に喜び、そうでない時はこれも流れと受け入れ流れが変わるのを待つ事だ。さすれば常に穏やかな気持ちでおられる。この穏やかな気持ちこそが幸運をもたらすのだ。お主は穏やかな気持ちでここまで来た。まだ起らぬ事に不安を抱くでなはい。良いか』

「うん……分かっているんだけどね。なんとなく考えてしまうんだ」

『ならもう一つ教えておいてやろう。不安な気持ちが不幸を呼ぶのではない。不安を考えると言う事は己から不幸な方向に進んでいるという事に人間は気付いておらん』

「そうなんだ。ありがとう。もう変なこと考えるのは止めるよ」

『それが良い』

「でも良くこんな事を知ってるんだな」

『これでも神界の住人だったからな』



翌日、おじいさんと役場に行って家の売買契約と登記の移転を済ませた。


それから数日しておじいさんは息子さんの家に移って行かれた。家財道具はたいていの物は息子の家に在るからと処分するつもりだったようだが、「お主が使うのならそのまま使ってくれ」とおじいさんの言葉に甘えてそのまま全部を使う事にした。おかげで何も買わずに済んで大助かりだった。


おじいさんから引き渡された翌日には今の借家を引き払い新しい家に移って来た。家が広くなったことも有り、ルーバも外では小型犬の大きさになっているが、家の中では元々の大きさに戻っているようで二部屋を続きにしてそこを独占していた。


新しい家に移ったからと言って何かが大きく変わったわけではない。仕事場がうまいっ亭の庭から自分の家の庭に変わった位だ。ルーバも相変わらずうまいっ亭でアイドル犬をして、ミハルさんとミリアさんに可愛がられている。


ただ、一つだけ大きく変わった事は預かり品を置く場所が出来た分、騎士団と近衛隊からの預かり品が増え、見るだけで早く終わらせないと……と、プレッシャーを感じる事だ。



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