第二百四十八話 土魔法師と農業指導員も借りました
一つ目の集落の修復を終えた俺はその足で王家の離宮に出向き陛下と面会をしている。
「話の筋は理解をしました。早急に必要な資材と適任者を用意しましょう」
「それは助かります。まだ一か所しか行ってないので他の集落の問題点は分かりませんが、どの集落も元炭鉱員という事だから農業についての経験が無いと思う」
「そうですね…… わかりました。人選を急がせます。その者たちを連れて他の集落を回って下さい。もちろん初めに行った集落。地図をみると第5集落ですが、そこには別の者を派遣します」
「ありがとうございます」
「ついでですから地図に集落の番号を書いていきなさい。その番号で私にも場所がわかりますから」
そう言うと地図上に集落の番号が書き足された。
陛下と話をしている間に俺と同行する人が2名来た。一人は土魔法師で土の改良や水脈の発見などで活躍している人で、時には草木の発育も促進しているとか。
もう一人は農業を研究している人で土作りや肥料作りに精通していて、新種の作物の開発も手掛けている人で農業のエキスパートとも言える人だと教えてもらった。
紹介をされたのは2人だが、他にもこの人たちの部下と言う人が数名同行するらしい。
話しを終えると早々に次の集落に向かう事になった。地図で言うと第4集落になる。
第4集落でも長から話を聞いた後、それぞれの仕事に入った。もちろん俺は家の修復。ここも第5集落と同じで酷い状態だった事から同じ作業をすることにした。
レーちゃん親子は今回も大活躍をしてくれているからどこかでご褒美を用意しないとね。
補強作業は一度やって来たからか村の人への指示がスムーズに行えた。心配していた釘も大量に離宮から貰って来たので足りないって事もない。安心して作業が出来た。
離宮に寄っていた時間も有ったからこの村の作業が終わったのは夕方少し前。俺は農地の方へ行ってみた。そこでは土魔法師の人が農地の改良をしながら即席で作られた肥料を土に混ぜ込んでいる作業をしていた。畑の横には山のような石が…… きっと掘り起こしたときに出た石だろう。
日が落ちかけたところでこちらの作業も中断された。土魔法師の人は教えてくれたのはこの辺りは石が多く、畑にするには不適切な場所だったらしく改良にかなりの魔力を使ったとか。
ただ、2つの集落を見て感じたのは、周りに多くの木が有るから林業は考えなかったのか疑問に思ったが黙っておくことにした。
農業技師さんからはしばらくの間ここに弟子の一人を常駐させて指導を続ける必要が有るとかで閑散期に出来る林業も指導していくそうだ。
まぁ~妥当だよね……。
その日も集落に泊めてもらい、次の集落でも同じことの繰り返しですべての集落を無事に回る事が出来た。




