第二百四十一話 旅は道ずれ余は・・・
今回は短いです。
いよいよ出発。忘れ物が無いか最終確認を終え、みんなが馬車に乗った事でいざ出発。
今回は直接キャサル村には行かず、少し遠回りになるけどリョウタ君の村、アスナル村に寄って村の復興具合を見たいとリョウタ君が言ったのとお母さんに現状報告をしてからキャサル村に向かう事になっている。その為、馬車は南門へと進めた。
南門では王都から出るための検査を受けていると、街門警備長と言う人が出てきて「英雄殿、申し訳ありませんが今暫くあちらでお待ちください」と言われ、理由を聞いても「今はお答えできません」と返されるだけで結局こちらが折れて馬車を脇に寄せたよ。だってここで逆らって犯罪者にはなりたくないからな。だけど、他の荷馬車はすんなり通るのになぜ俺たちだけが待たされているのかさっぱり分からなかった。
1時間くらい待たされただろうか……
「待たせたね。今回は私も同行させてもらうよ」
現れたのは陛下だった。
「クラム……陛下」
「では行こうか」
「ちょっと待って、なんで陛下が居るんですか!」
「私もキャサル村の離宮に行くためですよ。同じ場所に行くのです。道行を共にするのも好いでは有りませんか」
「…………公務はどうするんですか」
「心配の必要はないです。ちゃんとしますから」
どうやら騎士団のゴーラル団長から報告を受け、段取りを整えたらしい。またすべての街門に俺が来たら足止めをしておくように通達をしてあり、来たら即王城に連絡が行くようになっていたらしい。
ルーバとだけならクラムを振り切ることが出来たけど馬車ではそれも出来ない。今回はクラムの作戦勝ちという事か……
俺に陛下の馬車に移るように言われたけどそれはきっぱり断った。今回は家族旅行のような物だから出来るだけみんなと共にしたかったからだ。
「休憩の時はお相手をしますのでそれで我慢してください」
「わかった。それで我慢しておこう」
隊列は陛下の馬車を守るように騎兵が配され、俺たちは最後部に付けた。まさか荷馬車を修復しただけだからとても陛下の隊列に並ぶことなど出来ないからね。
こうしてまさかの珍道中が始まった。




