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第二百四十話 乾物屋の悲鳴

準備も整い明日にはキャサル村に向けて出発するが、今回は人数が多いので馬車での移動となった。馬車はジュグレさんが荷物の運搬用に使っていて、痛みが酷くなり廃棄を考えていたもの譲り受け、レーちゃんの羽で修復したものだ。雨除けの幌は付いているけど、荷物用の馬車だから乗り心地は良くないと思う。そこで少しでも乗り心地を良くするためマリーサさんがクッションを作ってくれた。これですべての準備は整った。




時は少し遡り、ここは乾物屋さん。


チョコラの助言を半信半疑に思いながらも寒天の仕入れを増やしていたのが幸いしていた。

リョウタ君から受け取り、試食をしていていたジュグレさんとタージさんから大量の注文を受けたが用意していた量では足りずに追加で取り寄せをしていた。ここまでなら良くある話。

しかし、商業ギルドから公開された芋ようかんと寒天を使ったレシピが公開された事で寒天騒動に巻き込まれるとは夢にも思ってなかった。と言うより、寒天レシピが公開された事すら知らなかったからだ。それも親切と言うか何と言おうか…… レシピには寒天の販売元まで書かれていた。そう。この時点で寒天を販売している店は一軒しかなかった。


レシピが公開された日の午後。偶然と言おうか都合よくと言おうか追加で頼んでおいた寒天が届き、納品不足をしていたジュグレさん分を取り分けていた時だった。


「ここで寒天を売っていると聞いたのだが物は有るかね」

「はい。有りますが、少々待ちください」

「店主、俺も寒天が欲しいのだが……」

「寒天を売っていると言う店はここで良いかな」


どんどんとお客が増えてきて店主一人では対応ができなくなり女将(かみ)さんを呼んだ。

それでもお客は増えて行き隣の店の主人が何事かと聞きに来たくらいだ。

もちろん乾物屋の店主は知る由もなかったからお客の1人から聞き出してみた。


「今朝、レシピ研究家のチョコラさんが寒天に関するレシピを公開したんだよ。あの人のレシピにハズレは無いからな。それで物は試しにとみんな寒天を買いに来たんだよ」


チョコラってクリーニング屋をしている子だよね…… 

不思議に思いながら乾物屋に話すと驚いていた。


そりゃそうだ。寒天を探して欲しいと言ってきたのもチョコラだし大量に仕入れておいた方が良いと助言してくれたのもチョコラで、レシピを出したのもチョコラなのだ。

しかし、そんなことを深く考えている余裕が今は無い。目の前にいるお客の対応が先だ。

だが、それも間もなく終わる。なぜならもうすぐ無くなるから。届いたばかりの物が即日完売と言うのは初めての事。その後に待ち受けたのは「次はいつ入るのか」と入荷予定の質問攻めだった。


店が繁盛するのは嬉しいが、ここまで来ると迷惑物だなと店主は心の中で思っていた。


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