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第二百三十四話 ラプチャー商会

マルサールの報告を受けた翌日から毎日ヘッドハンターがやって来ると言う。

親鳥さんとレーちゃんに尾行させるがなかなか依頼者と接触した様子が無かった。

相手が判らないのでは何も出来ないという事で、少し危険かも知れないけど相手と会ってみたいと誘いをかける事になった。ただ、相手の懐に入り込みすぎるのは危険とあって場所はマルサールに指定させ教会で親代わりの神父さん同席という段取りを取り付ける事に成功した。

しかし、目的はここではない。この後にハンターが会うであろう依頼者を突きとめる事だ


予想通りにハンターは動いた。親鳥さんの尾行は誰にも巻くことは出来ない。結果、浮きびあがったのはラプチャー商会という所だった。正直に言おう。あまりいい噂は聞かない。世間に疎い俺ですら耳にするくらいだから相当なものだろう。しかしあくまで噂。信憑性は定かでないからあまり変な事はここでは言わないでおくよ。


さて、相手が判ったところで商業者ギルドに向かう事にした。そこでどんな店なのか情報を教えてもらうために。


受付で名前を告げ、ギルド長のリプトンさんに会えないか聞いたところすぐに応接室に通された。


「お待たせいたしました。チョコラ殿から来ていただけるとは新しいレシピでも出来ましたかな?」

「いえ、今日はそういう事じゃなくて、ラプチャー商会について聞きたいのです」

「ラプチャー商会ですか……」

「何か有りましたは?」

「いえ、あちらも当ギルドの会員なので詳しくお話しすることは出来ませんが、出来たらあまり関わり合いを持たない方が賢明としか言えませんね……」

「それはどうしてですか?」

「はい。もともとはナメール王国に本店を置く商会なのですが、我が国とナメール王国が貿易協定を結んだときに進出してきた外国籍の商会なので余程の事が無い限りギルドとしても干渉がしにくいのが現状で……」

「そうですか……」

「それで、何か有ったんですか?」

「はい。うちの従業員を引き抜こうとしているのです」

「そうでしたか……。できたらお断りした方が良いですね。本当はもっと協力をしたいのですが協定が邪魔をしていまして…… 申し訳ないです」

「いえ、少しでも分かっただけで十分です」


俺はリプトンさんにお礼を言うと商業ギルドを後にした。


ナメール王国か…… 他国じゃクラムもうかつに手は出せないだろうし、俺が行くしかないのか?

あっ、でも貿易協定がどんなものか知っておかないといけないな……

結局、王城に出向き宰相さんに詳しく話を聞いてみた。


その中で課税について宰相さんも困り果てていた。仕組みはこうだ。わが国では買取だけをして販売をせず本国に送る。その時の持ち出し課税はほんのわずかで無いに等しい程だと言う。

それゆえに我が国内での決済は赤字となっており課税が出来ない状態だと言う。それは協定の隙間を突いていた。


宰相さんもなんとかしたいと考えてはいるが、協定を変更するには相手国との交渉が必要になりなかなか話がまとまらないと言うことだった。


そこで俺は有る提案をした。


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