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第二百十六話  チョコラ、詰む

ジュグレさんからの手紙はキッカが預かり、仕事から戻った夕方に俺に渡された。


『親愛なるチョコラ殿。この度は国王陛下お付きの女官マリーサ殿を嫁御に娶られたとか。誠にお目出たい知らせに驚くと共に、知らぬ事とは言え祝辞も述べずに申し訳なく思っています。ここに改めてお祝いの言葉を申し上げます。

さて、ここからは重要な事をお伝えいたしますのでチョコラ殿もご準備をお願いいたします。

キッカより新婦マリーサ殿の紹介と挨拶を受けた後にクラム国王陛下より書状が届きました。

その内容は「王家の親友であり、英雄であるチョコラ殿の此度の婚姻に関し、本来なら王宮にて盛大に行いたいところだが、チョコラ殿は庶民の暮らしを大事にしている故にそれが出来ぬ。

そこで貴公に披露宴の取り仕切りをお願いしたい」と言う事になりました。更に、陛下は「マリーサ殿は私が目を掛けていた一人の内だ。恥を掻かせぬよう配慮して頂きたい」とも書かれておりましたのでコミュレットの総力を挙げて取り組ませて頂きます。もちろん、陛下の命だけでなく私自身がやっとチョコラ殿に恩返しができると心が躍る思いですので、万事お任せ頂ければ幸いです。明後日には当店の者が衣装合わせのため貴店に伺いますのでよろしくお願いを致します。この度は誠におめでとうございます。ジュグレ」


……どういう事? 披露宴ってすでに既定路線な訳?? 

しかも陛下からの依頼って…… ク~ラ~ム~~ 何やってくれてんのさ!


俺はキッカとマリーサさんを呼んでジュグレさんとどんな話をしてきたのか聞き出した。


「別に普通に紹介しただけよ」

「普通にって、その普通が怖いんだよ」

「もう~ 店長もいい加減に諦めなさい。みんな喜んでるんだからさ、自分で見つけられないから今まで一人だったんでしょ。陛下の推薦もあっていい縁談じゃないの。あれ見なさいよ」


そう言ってキッカが指を指したのは常連のお客さんたちに今日一日だけで頂いたお祝いの山だった。


「店長はマリーサさんが嫌いなの?」

「……いや、嫌いではないがそれ以前に何も知らないから」

「あのね…… 子供じゃないんだからさ~ お見合いなんて相手の事なんか知らないで当たり前よ。これから知って行けば良いじゃない」

「……おまえなぁ~」

「あなた。そんなに私がお傍にいるのがお気に召しませんか?」

「いや、そうじゃなくて……」

「なら何なのですか?」

「……早すぎる……って言うか……強引すぎるって言うか…… そう強引すぎるんだよ。俺には俺のペースってのが有るんだよ!」

「フン。店長のペースに付き合ってたら100年先でも結婚出来ないわよ」

「キッカ~~~」

「そうじゃない」

「なぁ、マルサールは俺に味方してくれるよな」

「……俺に振らないでください」

「…………」

「あなた、大丈夫よ。あなたの邪魔だけはしないようにクラムからも言われてるし。支えになるわよ」

「…………」


こうしてマリーサが店にやってきて僅か2日でチョコラは詰んだ。


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