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第二百六話 避難民の現状

ルーバが言う事は理解できる。村から少し離れた場所に雷を落とせば天災のように映る。それを村に誘導したのは良いが付近の木が村ほど燃えていな。直に現場を見るとこの事が不自然にしか見えない。こうも陛下から聞いた話と違うってどう言う事だろう……。


『おい。変なことは考えるな』

「変な事って?」

『お主は何もできんと言うことだ』

「わかってるよ……」


少し探偵まがいな事をしようと思ったのは否定しない。だけどそんなハッキリ言わなくても……と少し不貞腐れていた時にホンちゃんから念話が入って来た。


『洞窟に人が居るのを見つけた。村の人かは判らないけどな』

「場所はどの辺り」

『ルーバに場所を教えるから連れて来てもらえよ』

「わかった。そのままそこに居てね」


ルーバに乗るとホンちゃんの誘導で洞窟にたどり着いた。ホンちゃんが教えてくれた洞窟は村から少し離れては居るがそんなに遠くは無いところにあった。

俺は一人、洞窟の前から声を掛けた。


「すいません。ここに居る方はアスナル村の方でしょうか?」


少しして二人の少年が警戒をしながら出て来た。


「おまえ誰だよ」

「俺はチョコラと言って、王都に住んでいる者だ」

「……王都の者が何の用だ」

「人を探している。アスナル村のリョウタ君の母親を」

「リョウ兄の」

「リョウ兄が生きてるの?」

「リョウタ君は俺の家に居る」

「本当だろうな。嘘じゃないのか」


まぁ、疑われもしょうがない。だから事前にリョウタ君から預かった札を見せた。

この札はアスナル村の者だと証明する札で、村を出入りするときの通行証にもなっていると聞いた。


「これ、本物だよ」

「おばさんに見てもらおうか?」

「そうだな」


少年は木札を預かると言って奥に入って行った。


少しすると、少年が一人の女性を連れて来た。


「私がリョウタの母です。リョウタは元気なのでしょうか?」

「はい。三日前に私が保護して、リョウタ君から探して欲しいと頼まれてここまで来ました」

「リョウタは何処に居るんです?」

「王都に置いてきました」


そうですか…… と残念そうにしているお母さんに今の現状を詳しく教えて欲しいと頼み、火事が有った日から今日までの事を話してくれた。


「火事はいきなりでした。雨も降って無いのにいきなり大きな音がして森から火柱が上がりました。それで雷が落ちたのだと思ったのです。村の男たちは消火に向かい、私の主人を含め何人かが煙に巻かれて亡くなりました。火は収まるどころか村を焼き尽くし私たちは村から逃げたのですがリョウタとははぐれてしまい村の人にも探してもらっても見つからず、逆に領主様の私兵に見つかると捕まえられ、殺された人も居りました。まさか領主様がと思いましたがリョウタを探すのに村の人を危険に晒すわけにもいかず探すのを諦めました。だけど、良くこの洞窟をあなたは見つけましたね」

「はい。見つけたのは俺でなく、俺の獣魔です。今は外に待たせています」

「そうでしたか……」

「それよりこの洞窟は安全なのですか?」

「はい。この洞窟は村で何か有った時の避難に使っている場所で、山で猟をする時の休憩は所にも使われていて多少の保存食も置かれています。しかも村の者だけしか知らない場所ですから運よく見つけられたと驚いていました」


俺は途中から念話を通じてルーバとホンちゃんにも話を聞かせていて、領主の兵が村人に危害を加えると聞いた時にはルーバは洞窟を守るように伝え、ホンちゃんには王宮に行って、今の話を陛下に伝えるように頼んだ。


『ご主人様~ 村の人を見つけたなの~』


レーちゃんからも連絡が入り、親鳥さんと共に俺が行くまでその人たちを兵士から守ってあげてとお願いをした。


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