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第二百四話 陛下との謁見

騎士団の詰め所で副団長のアルウェイさんにそそのかされて……じゃなくて、助言を受けて陛下にお願いをするか考えているとアルウェイさんが「さぁ行きますよ」と席を立った。


「ちょうど王宮には団長も居ますからね、手間も省けます」


アルウェイさんが人を呼んだかと思ったら馬車の用意と俺を連れて王宮に出向くことを伝えていた。まるで俺には拒否権すらない状況で王宮に行くレールが敷かれてしまった。


王宮の門に着くとアルウェイさんが門番さんに大きな声を発した。


「王国騎士団、副団長アルウェイ・サーサン。王家のご友人であり、英雄のチョコラ殿をお連れ致しました。至急、国王陛下にお目通りのお取次ぎを」


なんか門番さんが慌ただしく動き出しよ…… いつも業者用の門からしか入ったことが無いからまさかの出来事にたじろいでしまった。


「お待たせ致しました。陛下より目通りのお許しが出ましたのでご案内いたします」


なんかこの雰囲気が嫌だ……


「良いですか、今日は貴方が持っている力をフルに発揮しないと先ほどのお話が通せないかもしれませんよ。ですからいつもみたいに庶民であってはいけません」


アルウェイさんが耳打ちをしてきた。


通されたのは謁見の間。そこには団長さんはじめ、宰相さんや大臣とそうそうたる人たちが並んでいた。

俺はアルウェイさんの真似をして陛下の前まで行くと膝をつきかしずいた。


「これは我が王家の友人にして英雄殿。息才の様で何より」

「ありがとうございます。陛下もご健勝のご様子で私もうれしい限りでございます」

「堅苦しいあいさつはよい。要件を申してみろ」

「はい。実は本日、私の店で新しい従業員を雇いまして、話を聞いた中に山火事の延焼で村が全滅し、運良く逃げて来たとのこと。そのおり、母親や他の村民ともはぐれてしまったとのことです。もしかしたら森の中で村の人たちが助けを求めているかもしれませんので捜索して頂けないかお願いをしに参りました」

「そのことか。すでに報告は受け居ている。村を統治する領主にからは生存者の確認は取れなかったと報告も受けている」

「そうですか……」

「ちょっとよろしいかな」


宰相さんが話を引き継いできた。


「英雄殿のお気持ちもわかりますが、統治する領主の報告を無視して王国が捜索隊を派遣するとなると、その領主を王国は信用していないという事になってしまうのだ。王国としては報告が上がってきた段階で動けぬのです」

「…………」


宰相さんの言うことは尤もだった。信頼関係が崩れたらその領主さんの反乱までに発展する可能性だって出てくる。そんな危険な事は陛下に頼む事などは出来ない。


「我が王家の友人にして英雄殿。せっかくの申し出だが期待に沿えなくて申し訳ないが、一つだけ申しておく。チョコラ殿が勝手に探すのを国として止めることは出来ない」

「そうですな。一、街の店主が従業員の家族を探すのに公権で止める理由など有りませんな」

「沿う言う事だ」


暗に自分たちで探せと言っているのか…… 神獣たちに協力してもらえば出来ないことも無いな……


「わかりました。神獣たちと探してきます」

「力になれず申し訳ない」

「いえ、貴重なお時間を取らせてしまい申し訳ありません」

「それは気にせずとも良い。其方から願いを言ってくるのは初めてだからな、嬉しかったぞ」

「ありがとうございます」

「そうそう。これは国王としてではなく頼みたいことがある」

「なんでしょうか?」

「捜索した後、その武勇伝を聞かせて欲しい。個人的にな」

「はい。機会を作って頂ければ」

「宰相、聞いたな。チョコラ殿が戻りしだい時間を作るように」

「かしこまりました」



騎士団の力を借りれなかったのは残念だったけど個人で探しに行くことは許された。まさかこのあと大きな事件に巻き込まれるなどとは夢にも思っていなかったし、陛下に利用されたことすら気が付いても居なかった。



日が沈みかけた頃、店に戻った時は既にキッカもマルサールも戻ってきていた。もちろんリョウタくんも。そして神獣たちも集めてリョウタ君の村人捜索に行く話を切り出した。


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