第二百一話 協力
教会の帰り、ひとしきり子供の相手をさせられたルーバとホンちゃんに責められる形で市場の屋台にやって来た。ルーバいわく、『労働に対する正当な報酬だ』と言いながら思いつくままにはしごしている。ホンちゃんも『これでも安いくらいだ』と文句を言っている。
神獣に慣れてきた子供たちは容赦がないらしく、みんなボロボロになっているのはルーバの毛並みやホンちゃんの疲れ切った顔を見れば一目瞭然で、レーちゃんだけがまだ遊び足りないと言った表情をしていた。
『おい親鳥、お前は屋根の上で見てただけだろう! なぜ一緒に食ってるんだ』
『そうだぞ。お前だけ無傷じゃねぇか!』
『我は監視役。子供たち安全』
『監視など要らん。子供の相手をしろ!』
『自分ばかり楽するな!』
『役割大事』
『誰が決めたんだよ』
『ルーバ・ホン子供人気。適材適所。自然決まる』
『『うるさいわ』』
従魔たちのじゃれ合いを横目にしながらせっかくだからとキッカの店を覗きに行ってみることにした。
露店を出してからキッカは朝早くから出かけ、戻って来たらマルサールと翌日の商品選びにジュグレさんに出す報告書の作成と忙しくしているためこの処ほとんど会話もないんだよね。
「あっ、店長いらっしゃい」
近くまで来たら早々に見つかったてキッカから声をかけてきた。
「今日の調子はどうだ?」
「うん…… 最近はぼちぼちかな。出せる商品も少ないしね」
「俺に出来ることは有るか?」
「有ると言えば有るけど、無いと言えば無いかな」
「なんだそれ」
「あのね、オープンの時みたいに買取はして貰えないのかってよく聞かれるの。だからマルを借りれないかなって……」
「良いぞ。ジュグレさんの許可が取れたなら」
「それは大丈夫。全部私の裁量だからジュグレさんは何も言わないわ」
「そうなのか? 何か指導をしてくれてるんじゃ……」
「それもないわよ。ただ、報告書を読んで気になるところを指摘してくれるだけ。それの対策は私が自分で考えるの」
「そりゃ厳しいな」
「そんなことないわよ。指摘してくれるだけでもありがたいわ。だって独立したら指摘すらしてくれる人が居なくなるの。いつでも自分で考えて対応して行ける力を付けないととても独立なんて出来ないわ」
孤児院に居た頃から気が強い子だとは感じていたが、実はしっかりと自分で考えそれを言える子なんだと改めて関心をしてしまった。と同時に明日からマルサールを付けようと決めたのだった。
店に戻りマルサールに話をして午前中は店で、午後からはキッカの店に行くことで協力をしてもらえる事になった。
店長なんだから業務命令って形を取れば良いのかも知れないが気持ちよく協力をしてもらいたい思いから命令はしないけど快く引き受けてくれた事に感謝した。
平素はご愛読頂きましてありがとうござます。
また、200話の応援メセッージも頂きましてありがとうございます。
私の作品には戦闘シーンも恋愛シーンもなく盛り上がりに欠ける内容ですが、周りとの関りを通して登場キャラたちの成長が表現できたらと思っていますのでこれからもよろしくお願いします。
また、これから展開としては主人公のチョコラが振り回されていた展開から人を育てて行くという方向に話を持ってく予定で、タイトルとさらに離れるかもしれませんが、変わらぬ応援をお願いいたします。




