第二百話 決意をあらたに
あの後に分かったことはホンちゃんがロメーロ様から加護を貰ったと言っていたが、戻って来たレーちゃん親子の話では創造主様の眷属として俺の元に居る間はロメーロ様に預けられる事になったとか。
あと、レーちゃんが少し大きくなって戻って来た。人間界では霊力が足りず、成長を遅らせていたようで時々神界に戻って行ったのは霊力を調整するためだったと親鳥さんが教えてくれた。
成鳥になれば人間界の霊力レベルでも大丈夫になるらしい。
そして俺はと言うとロメーロ様の話がよく理解できていなかったことから神父さんに会い来ていた。
当然、ルーバとレーちゃんとホンちゃんは孤児院で子守だ。親鳥さんは……屋根の上に避難?していた。
マルサールも誘ってみたが店番をしているからと断られてしまった。
「チョコ坊、いつも3人が世話になってすまんな。ありがとう」
「いえ、俺は切掛けと場所を作っただけで何もしてませんよ」
「それが有難いことなんだよ」
「ところで神父様にご相談がありまして……」
「私でわかる事かな?」
「わかりません。でも、神様の事なので神父様が良いのかと思いました」
「ほう、それでどんなことですか」
俺は昨日ロメーロ様から言われた話を聞いてもらった。
「そうか。チョコ坊はどうしてキッカには店を、アントンには学校に、マルサールには鑑定の仕事させておるよな。どうしてだ?」
「それはそれぞれのスキルというか、能力を活かして欲しかったからです」
「賃金を払ってまでか?」
「それは俺の仕事を手伝ってもらってますから当然じゃないですか?」
「そうだな。しかし一般社会の現実はどうですか? 自分の能力を伸ばせる仕事に就ける人や仕事をしながら勉強できる環境にある人はほんの一握り。いくら神職目録の儀をしても大まかな結果で細かい部分まではわからないからです」
「はい。俺もクリーニングの仕事を薦められ、神父様に見てもらうまで再生スキルが有ることを知りませんでしたし、そこから派生したスキルにも驚きました」
「そうでしょう。条件が満たされなければスキルアップどころか、新たなスキルの発現もありません。そういう点ではチョコ坊はまっすぐに自分のスキルを活かしているという事です」
「それで、昨日の話ですけど……」
「その答えが今話した事になるのです」
「まだよくわかりません」
「簡単に言うと、これからもキッカ、アントン、マルサールにしてあげたようにチョコ坊の元に救いを求めて来る者にも同じことをしてあげて欲しいと神様は言っているのです」
「はい。それはこれからもしていこうと思っています」
「そうだと思っていました。神様もです。だから今まで通りで良いのですと言われたのですよ」
そうか、俺が決めて進めようとしていることが間違いでは無いってことなんだ。
みんなに助けられて今の俺が居る。だから俺も誰かの手助けをして行こうと改めて決意したのだった。




