第二十話 冒険者ギルドにて
役場で言われた通り冒険者ギルドにやって来たのは良いけど初めて来たので良く判らない。
取り敢えず適当な窓口で聞けば良いか……
「すいません。従魔登録したいのですが、どうすれば良いですか?」
「いらっしゃいませ。従魔登録ですね。でしたら6番の登録窓口になります」
「ありがとう。6番ですね」
やっぱりどの窓口でも受付てくれるわけじゃないんだね。教えて貰った6番の登録窓口に来て声を掛けた。
「いらっしゃいませ。本日は冒険者登録でよろしいですか」
「いえ、従魔登録をお願いします」
「従魔登録ですね。登録される魔獣の種別は何でしょうか」
「シルバーウルフです」
「はい。シルバーウルフですね。……えっシルバーウルフですか?」
「そうです」
「……少々お待ちください」
そう言うと席を離れどこかに行ってしまった。しばらくして一人の男性を連れて来た。
「ギルドマスターのアントンと言います。君がシルバーウルフの従魔登録に来た人だね。今日は連れて来ているの?」
「はい。ギルドの外で待たせています」
「では、魔獣の検査が有りますので一緒に迎えに行って検査場に行きましょう」
検査場と言いながら連れて来られたのはギルド長室だった。
アントンさんが言うには普通なら簡単に窓口で登録できるだけど、シルバーウルフは魔獣ランクがSS級で現在この国でもこのランクの魔獣を従魔にしている人は居ないらしく、この部屋で詳しい話を聞きたいとの事だった。
「うちのギルドでは初めて見るようだけど、まずは君の名前を教えて貰えるかな」
「チョコラです」
「チョコラ君ね。で、このシルバーウルフはどうして君といるのかな?」
「えぇっと……、俺の家の前で怪我をして倒れていたので家で治療をしたんです」
「なるほど。それで懐かれたと言う訳だね」
「懐かれたと言うより居座られたって感じですかね……」
「居座られたとは?」
「ここに住むからよろしく頼むって……」
「それは誰が?」
「だからシルバーウルフが……」
「そんな魔獣がしゃべるわけないだろ」
『吾輩は神界の住人だからな。人間の言葉を話する事ができるぞ』
「チョコラ……いま何か言ったか?」
「いえ、俺でなくシルバーウルフです」
『そこなる人間よ。早く吾輩がチョコラの家で住めるようにしろ』
いきなりのことでギルドマスターが固まってしまい回復するまで待つこと暫し。やっと戻って来たかと思ったら口をパクパクしているだけで声が出なかったようで、なかなか手続きが進まなかった。




