第百九十七話 新たなスキル
入学式が終わり、俺とマルサールは明日の打ち合わせの為に学長室へと案内された。
在学中の生徒全員を鑑定することになってはいるが、人数を聞いていなかったことからそこから確認したら新入生が60人、二年生が55人、三年生が45人。四年生が45人の205人。
どうやら少数精鋭の教育機関のようだった。
学長との話し合いで、1年生から順に4年生まで鑑定をしていき、最後に教職員もすることになってしまった。これは教員の中でも希望者がかなり居たかららしい。
場所は生徒指導室行われ、生徒を案内したり結果を控えたりと雑務を職員2名が手伝ってくれる事にもなった。
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鑑定当日になりマルサールと生徒指導室に来ていた。
「もうすぐ始めるけど、昨日教えた事を意識しながらやれば大丈夫だからな」
「はい」
昨日の夜、あらかじめ鑑定のコツは『この者が最大な力を秘めたスキルを示せ』と念じながら鑑定をすれば良いだけだから気楽に行こうとね。
職員さんに連れられて初めの生徒がやって来た。
俺が鑑定をしながら生徒と何気ない会話をしているところを横でマルサールが鑑定をしていく。
マルサールが鑑定結果のメモを渡してきた。俺は書かれた結果を見て首を縦に振る。書かれたメモを記録係に渡して生徒にも結果を告げたら終了。次の生徒さんを案内してもらう。
すべての生徒を鑑定した結果、同じ回復スキルでもたんなる回復と再生・修復に癒しと大きく3つに分けられた。
回復は主に疲労や病気など。再生・修復は疲労や病気の他に怪我や部位欠損の再生も可能なスキルらしい。癒しは治療より看護に向いているスキルだと学長さんに教えてもらったよ。
結果、一番多いのは癒しのスキルを持った人で半数を占めた。次に多いのは回復。再生・修復は一番少ないというかアントンを含めても3人しかいなかった。しかし、回復と癒しの両方を持った人も居てこの結果を基に生徒と相談しながらこれからの指導方法が決まることになる。
ちなみに再生・修復のスキルが見つかった二人はその日の内に医療センターの監修プログラムを受けることが決まり、身分も医療センターの職員になった。これは本人に意向を確認した結果でもある。
そして、早々に看護スキルを向上させる教育プログラムも強化するようで鑑定会を開いて良かったと思えた。
「英雄殿にマルサール殿。本日はありがとうござました。これで生徒一人一人に適正な指導が出来ます」
「いえ、俺たちが出来ることをしただけですので……」
「では、来年からもよろしくお願いします」
「来年もですか?」
「もちろんです。今年だけ無いでしょう」
やっぱり言ってきたか…… 予想通りだな。
「来年からはマルサール一人で行わせますからそのつもりで居てください」
「はい。それで結構です」
これでマルサールの鑑定士としての箔も付く。独立させた時に有利に働いてくれるだろうと安心できた。
また、今回の主役であるマルサールの鑑定スキルも驚くほど伸びていた。一番驚いたのは未来鑑定という新しいスキルが発現していた事だった。
このスキルの特徴は未来を予知する事ができて成長促進や危険回避に利用できるらしい。
ただ、未来は絶えず変化していることから目的設定として参考にする程度に活用するのが良いのかも知れない。
そして俺にも新たなスキルが表れているとマルサールが教えてくれた。
それは『導き』




