第百九十六話 入学式で・・・
今回の話の中で一部重大な修正を致しましたのでご報告いたします。
(修正前)先代王 → (修正後)先々代王
一度お読み頂い方にはお詫びいたします。
陛下の登場で医学学校の全生徒のスキル鑑定をする羽目になった俺はマルサールのレベルアップに繋げようと考え、了解を取ったことで改めて陛下と学長さんにマルサールを紹介すると共に仕事の内容と目的を説明したらマルサールも思いもよらぬ仕事に驚いて
「あの、本当に俺がメインでやるんですか? 無理だと思うんですが……」
「そうだだけど大丈夫。これも修業だからね」
「でも全生徒って多いですよ……」
「それも大丈夫。一日で終わらせなくてもいいし、俺も横でチェックするからさ気楽にやろうよ」
「わかりました、頑張ります」
「とにかく、大事なのは鑑定精度でなく経験値を積むことだからね」
「はい。では俺は店先に戻ります」
半分納得したという感じでマルサールが店に戻って行ったのを見届けて学長さんが口を開いた
「自信がなさそうでしたが、あの者に任せて大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「英雄殿が言うのであれば信じたいのですが、どうも……」
「不安ならこの仕事は断っても良いんですよ。もともと家はクリーニング屋であり、鑑定屋では在りませんから」
「チョコラ殿に任せておけば良いのです。学生たちの不安や教員たちの憂いもクリーニング屋だけに綺麗に洗い流してくれますよ」
「……陛下、いま上手いこと言ったでしょって言うようなドヤ顔は止めてくれませんか」
「そんな顔はしていませんよ。私はいつでも好いことしか言いませんからね」
「それは陛下にとってでしょ」
「そうとも言いますね」
「…………」
双方の思惑は別にして話がまとまった事で陛下と学長さんは帰っていった。
後日、医学学校から鑑定の実施日が決まったからと手紙が届き、入学式の2日後で出来たら入学式にも出席してほしいと書かれていたからアントンの晴れ舞台を見に行く感覚でマルサールと一緒に行くことにした。念のためキッカも誘ったが「私が今やることは一日も早く店を構える事だから」と暗に行かないと言われた。確かにアントンの入学も医者になるためのスタートラインだし、応援は何処に居たって出来るからね。
そうして迎えた入学式。俺とマルサールは職員側の席に案内され、アントンが式場に入って来た時には何でそこに居るのって感じの顔をしていたのにはほくそ笑んでしまった。
「ただいまより、第67期生の入学式を取り行います」
定刻になったのか進行役の先生が開会の宣言をした。
学長先生のあいさつから始まり、陛下の祝辞の時は壮大な拍手が沸き起こりひとしきり沸いたところで陛下が手を挙げ収めた。いつもなら文部大臣が陛下の祝辞を代読するのだが、今年は陛下自ら登壇した。これは開校した年に先々代王が登壇して以来66年振りの出来事だったらしい。
「新入生の皆さん。まずはおめでとう。皆さんあまねく難関を掻い潜り、見事その手に私と共に今日の日を迎える栄誉を掴んだ人たちです。そしてこれからこの学校で身に着ける知識と技術を国民の為に敷いては国の為に発揮してもらいたい。その為に私も出来る限りの力添えをしていくつもりです。手始めに今年から新たな取り組みを導入することになり、わが友人であり英雄でもあるチョコラ殿にも協力を頂けることになりました」
はぁ? なんでここで俺の名が出るんだ? と戸惑っているうちに歓声と拍手が沸き起こった。
これも陛下の些細な動作で収まり、話の続きを聞く姿勢を示したところで陛下が続けた。
「このことで我が国が、如何に国を挙げて取り組んでいるのかを皆さんに理解して頂き、精進をしてもらいたい。皆さんの成長と活躍に期待しています」
会場が割れんばかりの拍手に見送られ陛下が降壇。そのまま会場を後にした。
「続きまして、王家のご友人にして英雄のチョコラ殿に一言頂きます」
はぁ~~~~~ 聞いてないよ……
いきなり何話せっていうの???
誰か教えて~~~~~~~~~~~




