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第百九十二話 驚きの特待制度

あまりの嬉しさに舞い上がっていた俺は受験をした本人のアントンに宥められ落ち着きを取り戻した。


「ごめん…… 騒ぎすぎた」

「あ… ありがとうございます」

「ところで、どうしてこっちを見てたんだ?」

「それは、向こうが張り出された後にこっちが張り出されてて、人が少なかったからこっちを見てました」

「そうか。でもよかったな」

「はい!」

「でもさ、この特別待遇ってどういうこと?」

「なんでしょうか? 僕にも……」


ここで話をしていても埒が明かないそれよりも大事な入学手続きをするために移動した。


受付会場は広い講堂に設けられていた。受付で受験票を提示したら他の受験生とは別の部屋に案内され、そこに現れたのは学長さんだった。


「アントン君でしたね。この度は合格おめでとう。私どもも将来を期待できるアントン君を迎えられることが出来て嬉しく感じています」

「ありがとうございます」

「わが校での特待生誕生は約30年ぶりで私も誇らしい限りです」

「あの…… 特待生とは何ですか?」


俺は一番気になる事を忘れないうちに聞いてみた。


「特待生ですか? 特待生とは王立中央医療センターが示した条件を満たした者だけに与えられる特別な養成支援制度でして、入学後の身分はわが校の生徒でありながら医療センターにも籍を置くことになります。そのため学校で掛かる費用、入学金や授業料。他にわが校の生徒は全員が寮生活をして頂くのですが、寮費も含めすべてを医療センターが負担をしてくれる事になっています。また、少額ですが医療センターから職員手当の支給もありますから在学中は個人で負担するお金はほとんど必要がありません。ただし、この制度を利用した者は卒業後20年は国内で医療業務に従事してもらいます。特別な事情がない限りこれに違反すると経費の実費と違約金を含めて金貨1000枚を返納していただく事になります。もちろん、一般入学を選択することもできます」

「凄い制度ですね……」

「そうですね。優秀な医療従事者を育てたいという国の姿勢ですからね。これを利用しないのは勿体無いと思いますよ」

「あの、国内であればどこでも良いんですか」

「はい。拘束期間が20年ですからこの間に独立して個人の医療機関を開く人も居ますからね」

「わかりました。俺はこの制度を受けたいと思います」

「アントン、そんな簡単に決めていいのか? 20年は仕事を拘束されるんだぞ」

「大丈夫です。俺は店長から」

「店長? 親御さんでは無いのですか?」

「はい。俺は孤児院出身で、今は店長の店で働いていて俺のスキルを見抜いた店長がこの学校を勧めてくれたんです」

「スキルを見抜く…… ですか……」


学長さんが呟いたこの一言がのちのち俺に関わって来るとはこの時思いもしなく聞き流していた。


「その時にもし医者になれたら孤児院の子たちを診てあげるんだと決めたです。だから20年だろうと30年だろうと俺は死ぬまで医者を続けるつもりだから心配いりません」

「そ…そうか。アントンが決めてるのなら俺は何も言わないさ」


アントンの気持ちって言うか決意を聞いて、普段は口数も少なくおとなしいけど本当は俺より強い男じゃないかと思わされた。


「話を進めますが、今回のテストでアントン君の回復スキルは最上位に位置するレベルであることが分かっています。しかし、いくら最上位のレベルでも活かし切れなければ標準レベルと変わりありません。そこでアントン君にはわが校のプログラムの他にも医療センターが監修したプログラムも受講してもらうことが義務つけられています。これを合わせると本来なら最短4年で卒業するところ6年は掛かることになりますので覚えておいてください」

「はい。俺、頑張ります!」

「期待していますよ」

「はい!」

「では、私からの説明と言うか意思確認はここまでで、これから先の詳しい話は別の者が説明しますのでその者が入学手続きも済ませてくれるはずです」

「「ありがとうございました」」


学長さんが退出してしばらくしてから事務員の人が入学手続きと入寮にあたり必要な物や規則など説明をしてくれて学校を後にした。


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