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第百九十一話 気になる合格発表

肉まんとピザ風まんは好評だった。蒸したてホカホカと皮のフカフカホワホワが冷たい総菜パンより幸せ感をもたらせるらしい。だけど……


『おい! もう無いのか? 我は食べ足りんぞ』

『レーちゃんももっと食べたいのなの』

『そうじゃ、人間ならこれで満足かもしれんが、我らに2個とは…… 悲しいぞ』

『…………』


と獣魔たちからは量に対してのブーイングだ。


追加で作る気がない俺はスルー一択で無視無視。

それより冷めない内にタージさん達に持って行ってやろう。


「おう、アントンはどうだった?」

「さぁ~、昨日は何も聞かなかったから……」

「そうか……」

「でも本人は手ごたえ有りって多分受かっているだろうとは言ってましたね」

「本当にそうなると良いわね」

「そうだな」

「俺まで胃が痛くなりそうですよ」

「ははは…… 親バカだな」

「…………」


だって、いくら本番は来年だと言ってもアントンの未来が掛かってるから気になるのはしょうがないじゃないか!


「ところで、それは何だ? 新しい料理か」

「そうよ。さっきからいい匂いがしてるのよね」

「これは肉まんとピザ風まんです。ミリアさんの分も有りますからどうぞ」

「やだ! そんな心配してないわよ」


そのあとタージさんに実演を交えた作り方の講習をして出来上がった肉まんを持って帰って来たところ、獣魔たちに全部食べられた。



それから3日間は普段通りに過ごした。キッカはマルサールと相談しながら露店で並べる商品を選び、ジュグレさんの元に顔を出してから広場に向かう。マルサールは持ち込まれる品を鑑定したりそのまま買い取ったりと忙しいようだ。アントンは一人作業場で俺を入れてくれない。

仕方がないので俺は店頭でなじみの客と世間話をしてた。


そしていよいよ合格発表の日。


アントンは一人で見に行くと言い張ったが、はいそうですかと送り出せるわけがない。俺だって気が気じゃない。おとなしく店で待ってられるほど人間が出来ていないのだよ。無理やりにでも付いていくよと言い切り二人で医学学校まで来ていた。

ちなみに獣魔たちはアイドルの仕事?をしているそうだ。


発表時間になり係員が合格者一覧表を張り出し、我先にと受験番号を確認していく。


「おい、お前の受験番号は何番だった??」

「255番です」


255番か、189・197・222・248・257・281…… 無い。


ダメだったか…… 

来年が本番だと言ってはいたけど、アントンが自信があると言っていたから心のどこかで期待をしていた。けど自信があっただけにこの結果をアントンが受け止めれるかどうかそちらのほうが心配になった。


「店長、有りました! 255番、ありました~~~っ!!」

「えっ、どこに?」

「ほら、ここです。ここに255番って」


よく見るとそこには特別待遇合格者と書かれていた。この合格者はアントンだけで他には居なかった。


「特別…待遇…合格者…… ってなんだ?」

「……わかりません」

「でも、合格者って書いてあるから… 受かったんだよな……」

「はい。受かりました!」


俺は落ちたと思ったところからの逆転ホームランって感じで嬉しさが爆発。思わず抱きしめワーワー騒ぎながら飛び跳ねてしまった。気が付いた時は涙が流れていたよ。

嬉しくて嬉しくておめでとうの言葉も出てこなかった。


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