第百八十二話 キッカの処遇
俺と宰相さんと財務大臣の3人で今回施行する範囲と報酬を決めた。
前回からまだ一年もたっていない事からそんなに広範囲には行わず、予算も出せないと財務大臣の強い発言に押し切られる形となったが、3人の共通認識として今回の依頼も陛下の思い付きだからという事で、お茶を濁す程度と言えば良いのか分からないが諸外国の要人を迎えるに使用する部屋を中心という事で纏まり、正直一日でも足りる範囲となった。このまま施行して帰っても良いかと思ったが、一応稟議を回すと言う事で通りしだい連絡を貰う事になった。
王宮を出るとホンちゃんが腹が減ったと言うので市場により屋台で空腹を満たすことにした。
ホンちゃんは初めての屋台に興奮して『これ美味そうだ』『あれも食ってみたぞ』とあっちこっちも梯子を楽しんでいる。もちろんルーバもレーちゃんも似た様な物だけどね。
『ホン、そんなに焦らなくとも大丈夫だ』
『そうなの~ ゆっくり楽しむのなの~』
『そうなのか?』
『ホンは初めてだからな、舞い上がるのは分かるが一日で全部回るより、次回の分を残してい置いた方が楽しみの有ると言うのもだ』
『それもそうだな……。じゃ~ 今日はこれ位にしておこうかな』
従魔達の会話を聞いていてやっと帰れるのかと少し安堵した。
『主殿、今日は楽しめたからさ、また連れて来てくれよ』
「わかったよ」
本当にホンちゃんは良い子だ。ルーバなど連れてくることが当たり前のように言って来るけど、ホンちゃんのようには言ってきたことが無い。それだけでもまた連れて来てやりたくなるよ。
店に戻るとキッカに詰め寄られた。
「お城の仕事はどうでした?」
「いや…… 今日は打ち合わせに行っただけだから……」
「安く受けて来なかったでしょうね?」
「ほら… うちはお値打ち価格が売りだから……」
「……これからは私が出向いた方が良さそうですね」
「いや…… 必要ないから……」
「わかりました。もう少し様子を見させてもらいますが余りにも適正価格を下回っていたら私が交渉も担当しますからね」
「…………」
キッカのこの成長ぶりを喜ぶべきとは思うけど、スキルの凄さを甘く見ていた事も痛感した。
やはり早期に古物商をキッカに任せ独立も考えるか、それとも信頼できる店を紹介してもうかしてそこで勉強させるか……
どちらにしてもこの家から出すとなると寂しくなるよな……。




