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第百七十七話 なぜ俺より早いんだ?

離宮のお披露目も終えて実家に戻り、今は従魔達との約束で小籠包を作り食べさせながら、明日は予定より一日遅れたが王都の家に向けて出発しようと考えていた。


『おい…… おい! 聞いているのか』

「あっ、ごめん。考え事してた」

『明日戻るんだろう』

「そうだよ」

『今夜はしっかり寝ておけよ。また俺の上で気絶されても困るからな』

「もっとゆっくり走ってくれれば良いだけの事じゃないか」

『それでは運動にもならんわ』

「とにかく、そう言う事だから」


ルーバはときおりこうして俺に気を使ってくれる。



翌朝、邪魔が入らぬようにと朝早くの出立だ。


「もう。こんなに早く行かなくても良いんじゃないの。せめて朝ご飯を食べてからでも……」

「そうだぞ。もう何もないんだし」

「そうかも知れないけど、あの陛下だから油断は出来ないんだよ」

「まったく、いつからそんなに疑り深くなったんだ?」

「父さんも母さんもありがとう。また来るよ」

「気を付けて行くのよ」


兄たちはまだ寝ているので挨拶は出来なかったが両親には挨拶をしたところでルーバに乗り村を出た。


その後、早朝の村にチョコラの悲鳴が謎の奇声として村に響いたと……



帰りはティガスの街を過ぎてから一晩野営をして無事に王都に戻ってこれた。

そうそう道中でトラブルに遭っていたらかなわない。


「みんな、ただいま」

「「おかえりなさい」」

「店長。早かったですね」

「もっとゆっくりしてきても良かったんですよ」

「ありがと。でもみんなの事が気になってね」

「店の方は何事も無かったか?」

「それも大丈夫です。かなり売り上げもありましたよ」

「良いものも仕入れる事ができました」

「そう。後から見せてもらうよ。ところでアントンは?」

「作業場で騎士団のをやってます」

「そう。ちょっと見てくるよ。店の方はよろしくね」

「「はい」」


作業場に行くと黙々と仕事をしていた。


「アントン。ただいま」

「あっ、おかえりなさい」

「調子はどう?」

「はい。また仕上がり具合が向上しました」

「それはおめでとう」


アントンが仕上げた鎧を鑑定してみると確かに前より補修された場所の強度が補強されていた。

俺が留守にした20日間、独自の研鑽が成果に繋がったのだろう。頼もしいものだと嬉しく思った。


店頭に戻る前にうまいっ亭に顔を出して置こう。留守中のお礼を言っておかないとな。


「タージさん。ミハルさん。留守中ありがとうございました」

「おっ、帰って来たか。早かったな」

「おかえりなさい。あの子たちしっかりお店を守ってたわよ」

「はい。安心しました。これ、お土産です。大したものでは無いですけど実家が作った野菜です」

「あら、ありがとう。さっそくお店で使わせてもらうわね」

「おう。すまんな。それと小籠包のレシピも受け取ったぞ」

「はい? もうですかって、それ陛下に渡したのは3日前ですよ」

「昨日届いてな、ちゃんと登録も済ませていた」


王都から馬を飛ばしても3日で来れる距離で無い。なんで俺より早いんだ~~~~~~~~~


そう。チョコラは知らなかった。離宮が出来た事で希少な魔道具、魔道通信で王宮と繋がった事を。これによりチョコラがレシピを渡した当日に王宮に送られ、その翌日、タージの手元に素早く届けられていたのだった。


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