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第百七十六話 食い気優先の従魔達

あれから離宮のお披露目会は和やかに進んで居た。


俺以外は……


簡易キッチンの片付けもやっと終わった所に陛下がやって来た。


「先ほどは素晴らしい余興をありがとう。お礼に監視の強化をすることにしたよ」

「止めてください! 謝りますから止めて」

「どうしましょうね……。ところでチョコラ殿、そろそろ新しく従魔にしたというスモールホーンドラゴンを紹介して貰えないだろうか」

「良いですけど……」


俺はホンちゃんを見るとルーバやレーちゃん、親鳥さんと一緒に料理を食べていると言うか、食い散らかしているって感じで、いま俺が呼んでもきっと来ないだろう……


「今はまだ無理ですね」

「何故ですか?」

「あれを見てください。きっと今呼んでも来ないと思います」

「……確かに。わき目も振らずに食べていますね」

「お恥ずかしい限りです」

「では後程で構いませんからお願いしますよ」

「分かりました」

「それと、そろそろ王宮のクリーニングもお願いしますね。クリーニング師殿」


それだけ言い残し陛下が離れて行った。

何がクリーニング師殿だ。分かってんなら料理なんてさせるなと思いながら従魔達の所へ向かった。


「お前らそろそろ遠慮しろよ。もう十分食ったろう」

『なにを言うか、まだ料理が残っているだろう』

『そうだぞ主殿、残したら作った者に悪いからな』

『レーちゃん、もっと食べれるのなの~』

『……美味いよ』

「…………」


俺が小籠包を作っている間も、ルーバ達が占拠した料理テーブルだけが次から次へと料理が運ばれていたのだ。


『ところでお前が作ってたやつはどうした?』

「あれならもう無いよ。全部無くなった」

『なに! どうして残して置かんのだ』

『主殿…… それはないぞ……』

『レーちゃんも食べたかったなの』

『美味しいの…… 食べたい』

『今からもう一度作れ』

「今からはもう無理だよ」

『では我らはあれを食えんという事か!』

「これだけ食ってんだから良いだろう」

『お前が作ったのは別物だ』

『そうだぞ。主殿』

「もう…… 分かったよ。家に戻ったら作ってやるから今は我慢しろ」

『絶対だぞ』

『期待してるからな』

『約束なの~』

『……約束』


まったく…… お前たちの食い意地だけは天下逸品だよ。

あっ、そんな事よりホンちゃんだよ。


「ホンちゃん。国王陛下に紹介するから付いて来て」

『面倒な事はご免被りたいな』

「顔見世をしておかないと王都には居れない。という事は俺の家にも居れないと言う事だ。どうする?」

『仕方がない…… 会ってやるか』

「ルーバ達はどうする?」

『我はここで食っているぞ』

『レーちゃんもなの』

『レーが居るなわ我も居る』

「そう……」

『冷たい奴らじゃ』

『食い物より優先する物は無い』

『確かに……』


ホンちゃん…… そこでなに納得してるの??



「陛下。横に居るのがスモールホーンドラゴンのホンちゃんです」

「おぉ~ 確かに私も初めて見るドラゴンですね」

『人間の王よ。我は訳あって主殿の元にきた。邪魔だては許さんからな』

「このドラゴンも人間の言葉がしゃべれるのですね」

『人間の言葉を喋れるのはエンシャットと我が種族だけだ』

「ほぅ~ これは興味深い話ですね」

『主殿、言われた通り顔は見せたからもう良いだろう』

「はいはい。もう良いよ」

『じゃ~ 行くからな』


そしてルーバ達がいる料理テーブルに戻って行った。

あぁ~ まだ食べる気なんだ…… いったいどんな腹してるんだ?? そう思いながらホンちゃんを見送るのだった。


「これはまた個性的なドラゴンですね」

「ははっ…… 食い意地だけです」


ほんと食い意地だけのような気がしてならなかった。


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