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第百七十五話 作ってみたのは小籠包

クラム~~ もう今日はクラムで良い! 陛下などと敬ってやるか!! 心の中で愚痴りながら食材をさがしていたらある物を思い出した。確か飲茶とか言ったかな…… あれを作ろう。


俺がこれから作るのは小籠包。見た目は地味だが食べたときの驚きは一級品だ。


小麦粉とネギ、タマネギも入れよう。あとはショウガ。味付けには塩に砂糖としょう油。それにゴマ油とオイスターソース……。それとゼラチン。


オイスターソースってなんだ??で、なんで空間収納に入ってる?? 訳判らん。


そして肝心の豚肉だな。それと……これが要るか。取り出したのは鳥の骨。これで出汁を取るのだ。


鍋に湯を沸かし鳥の骨を割って入れる。そのあと丁寧に灰汁を取ったら青ネギをはじめ、空間収納に有った野菜とリンゴを入れ、時短のために魔法を行使して鶏ガラスープを作った。


このスープにゼラチンを加えて冷まし固めておく。


次に取り掛かったのは皮作り。小麦粉に少量の塩を入れ、熱湯を加えたら纏めて捏ねる。一通り捏ねたら棒状に伸ばし寝かせておく。


次はいよいよ餡作りだ。豚肉は細かく切ってひき肉にしていく。多少大きな塊が有っても違う歯ごたえが楽しめるからそれもご愛敬。

ネギと玉葱はみじん切りにし、ショウガはすりおろしたのを使う。

食材と調味料を全て混ぜ合わせ、ゼラチンで固めたスープも細かく潰して混ぜ込む。

ここまで出来たら次の作業中は冷蔵庫で寝かせておく。


今までの流れを見ていた村の人たちから「時間がかかるのう」だの「ちと面倒じゃ」などと声が聞こえてくるが気にしてはいけない。美味しい物を作りには手間暇がかかる物だ。もちろん簡単で美味しい物が有るのは確かだが、それではクラムにぎゃふんと言わせられないからな。


寝かしていた生地を均一の大きさに切り分けたら10センチ弱位の円形に延ばせば皮の出来上がり。

これにさっき作って置いた餡を包んで蒸したら出来上がりだ。


食べたときに口に広がるスープと一緒に食べてもらう。火傷には気を付けよう。


さて、蒸し上がった小籠包を木製のレンゲに乗せるとクラムに差し出した。


「出来ました。どうぞ召し上がってください」

「これは何という料理だ」

「小籠包と言います」


後からレシピを渡せ。今月分だとタージに渡しておいてやるよ。と耳元で言われた。どうしてそこまで知っている? 俺の監視は止めると言っておきながら続けていたって事か…… これはお仕置が必要だな。噛んだ時のスープに気を付けよって事は黙って置こう。


「かなり熱いので火傷にはお気を付けてください」


分かったとばかりに頷き、ふうふうと冷ましながら口に入れるクラム。


ふふふ…これは表面が熱いのでなく、中から出てくるスープが熱いのだよ! 

俺のささやかな仕返しだ。存分に受け取るが良い。


「熱っ! 口の中を火傷したぞ」

「だから気を付けるように言いましたよね」

「こんな熱い汁が出てくるとは聞いてないぞ」

「陛下、口調が乱れていますよ」

「こんな時に陛下呼びか!」

「ふん。俺を嵌めた天罰ですよ」

「……何のことかな??」

「監視も続けてたでしょ」

「…………」

「陛下大丈夫ですか、この者を陛下への侮辱と傷害で捕らえろ」


傍に居た側近の誰かが慌て指示を出している。


「煩い! 余計な事をするな!!」


初めて観るクラムの慌て振りにこれまでの溜飲が下がる思いだった。


クラムが身体を張って食べ方の見本を見せてくれたせいもあってか、村の人たちはスープに気を付けながら美味い美味いと好評でかなりの数を作った積もりだったが、アッという間に無くなった。


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