第百七十三話 やば、忘れてたよ・・・
実家に戻って14日。村の人達もホンちゃんに慣れてきたようだし、予定のハウスクリーニングも残すところ2軒となり何もかもが順調に進んでいる。
そのホンちゃんはルーバと共に村の近くで狩りをしているようで獲物を持って来ては皆で分けて感謝されている。
うん。すべてが上手く行っている。
俺の中では今回の作業が済んだところで王都の自宅へ戻るつもりでいた。もちろん留守番をさせている3人の事が心配だからね。
「父さん、母さん。明日には今回の分が終わるから明後日には王都に戻るよ」
「あら、もう帰るの?」
「好きにすればいいさ。戻れたならな……」
「戻れたら??」
「いや、気にするな」
その時の父の言葉が引っ掛かったがそそくさと畑仕事に行ってしまった父を見送るのだった。
時同じにして、王家の別荘にクラム国王陛下が到着した。
「陛下のご到着、心よりお待ち申し上げておりました。ご無事のご到着に安堵しております」
「村長か。出迎え大義。して、準備はどうだ」
「はい。今朝がたチョコ坊が明後日には帰ると父親のサンドラに伝えたようです」
「そうか。ではお披露目会を明後日の開催にするが大丈夫か」
「はい。いつでも出来るように整えてあります」
陛下は側近を呼ぶとチョコラに招待状を出すように伝えた。
今日で全ての作業が終了した。明日には王都に戻るための準備をしていた。準備と言っても道中用のご飯を作っていた。
「チョコラ~ お客さんよ」
??誰だ??
玄関に向かうと身なりが整った如何にも貴族って感じの人が立っていた。
「チョコラ殿ですね。国王陛下よりの招待状を持参致しました。どうぞお受け取りを」
「はぁ? 陛下から招待状?」
この時ハッキリと思い出した。そう言えば村長が言ってたような…… 別荘のお披露目会が何とかかんとか…
あの時はまだ少し頭がボ~っとしてたからな……
とにかく、差出人が陛下なら受け取る以外の選択肢が無いか……
「確かに受け取りました」
「では、これにて失礼を致します」
「お役目ご苦労様でした」
リビングに戻り封を開け、内容を確認した。
《王家離宮 お披露目会へのご招待》
王家の親友チョコラ殿。明日正午より王家離宮の完成祝賀を兼ねたお披露目会を行う事になりました。
多忙とは存じますが、必ずご出席いただけますように申し上げます。
なお、開催一時間前の11時にお迎えの馬車をご用意しておりますのでご指示にお従いください。
クラム国王陛下代理、宰相ムラング
これは………… 逃げれんか




