第百七十二話 従魔達の懇親
「あらぁ~ ドラゴンってもっと恐ろしいのかと思ってたけど近くで見ると可愛いのね~」
母さんが呑気にそんな事を言いながらホンちゃんを撫でくり回していた。
村長の許可が下り無事に連れて来られた時はかなり驚かれたけど、ホンちゃんをちゃんと紹介してからは安心したのかこんな感じだ。
『主殿…… そろそろ母上を止めてくれ』
「すまん。俺には母さんを止められる力が無いんだ。もう少しだけ我慢してくれ……」
『そ…そんな……』
『ご主人様の母様は優しいのなの。美味しいおやついっぱいくれるなの』
『美味しいおやつか…… しょうがない、もう少しだけ我慢してやる』
しばらくして満足したのかホンちゃんは解放された。
「ところでチョコラ、ホンちゃんは何を食べる? やっぱお肉かしら?」
「あぁ…… 聞いてみるよ」
『俺は肉も野草も果実でも何でも食うぞ』
「好き嫌いは無いみたいだよ」
「あら、ホンちゃんは偉いわね。じゃ~美味しいご飯を作るわね」
従魔達のご飯は俺も手伝って作った。なにせ量が有るからね。母さん一人では大変だし。
『美味い。美味いぞ主殿』
今夜作ったのは定番の唐揚げ。道中に従魔達が狩った得物の肉を使っている。
『主のご飯はいつも美味しいのなの~』
『やはり主殿に付いて来て正解だったな』
『うん。飯だけは美味いぞ』
ちょっと、飯だけはって…… ルーバさんよ、それは酷くないかい
『ところで、みんなはどうして主殿と居るのだ』
『あのね、レーちゃんは創造神様から主の所に遣わされたのなの』
『なんと!創造神様から…… と言う事は、まさかフェニックス』
『そうなの。母様も居るのなの。それにね、ルーバおじちゃんも神獣なのなの』
『そうなのか……』
『我は神界で護衛の任務をしていただけだ。騒ぐような事ではない』
『こりゃ豪勢な仲間に恵まれたな。おれは神獣じゃないがドラゴンの中でもエンシャットドラゴンに次ぐ格式の有るスモールホーンドラゴンだ』
『かなり高位のドラゴンだな。だが、どうして高位のお主が主の従魔になったんだ』
『主殿の飯が美味かったからだ。傍に居ればいつでも美味い飯が食えるだろう』
『単純だな』
『レ―ちゃんも主のご飯は好きなの~』
『美味いもんな。それでそっちこそどうして居るんだ、シルバーウルフよ』
『ルーバだ。我輩はこ奴に命を救われた。恩は返さねばならぬからな』
『それは大事だな。とにかくこれからは仲間だし、よろしく頼む』
『よろしくするなの~~』
『我輩こそ頼む』
俺の家族にはガウガウゴウゴウとしか聞こえてないだろうけど、俺にはちゃんと聞こえていた。
まぁみんなが仲良くしてくれることに越したことはないからと俺は会話に入らないことにした。
でもホンちゃんが高位のドラゴンってばれたらまたひと騒動が起きそうで要注意ってところだな。




