第百六十九話 チョコラ、恥をかく
ホンちゃんに案内されてやって来た場所にはざっと見て20台近くの荷馬車が有った。荷を確認すると本当に食料以外がそのまま残っている状態で野盗とかに荒らされた形跡も無かった。
これについてホンちゃんは持ち主以外には見つからない様な結界を張っていたらしい。あくまでも目当ては食料だったと言う。
ふたたびティガスの街の戻るとまずは冒険者ギルドでホンちゃんの従魔登録をした。これをしないと公に連れて歩くことが出来ないからね。その後、町長に会いに行く。
「いや~ まさかドラボックルまで従魔にされるとは…… さすがチョコラ殿ですね」
「……ははは」
ここは笑って誤魔化すしかないだろうな…… まさか押しかけられたとは言い難い。
「それで、残された荷馬車も見つけたので荷主さんに返して頂ければと……」
「わかりました、こちらの方で対処致しましょう」
「では、道すがら場所に案内をして私たちはそのまま旅を続けますので、後はお願いをします」
「わかりました。ぜひ帰りもお立ち寄りください。ではこちらが今回の報酬になります」
そう言って金貨20枚をくれた。
警備団と荷馬車を引くための馬20頭を連れて荷馬車の保管場所?に案内をして俺の役目は終わった。
改めてルーバの背に乗るとキャサル村に向けて出発した。
「ぎゃ~~~~~~~~~~~~ スピード落とせぇ~~~~~~~~~~」
『毎度毎度うるさい奴だ。もっと加速してやるわ』
「やめろ~~~~~~~~~~~~~」
いつの間にか気を失っていたらしく気が付いた時は実家のベッドに寝ていたようで、起きてリビングへ行くと母さんがルーバと話をしていた。
「あら、気が付いたようね」
「……かあさん」
「情けないわね。ルーバさんに乗って気絶したんですって」
「……」
『ほんと、こ奴は軟弱者だ』
うるさいよルーバ。あのスピードは誰でも気絶するわ!
経験してない者には分からないと言いたかったが止めておいた。
「でも、良く村の門を入れたね」
「門番さんがね、ルーバさんの事を覚えていて、貴方が背に乗って気絶していると教えて来てくれたのよ」
「ははは……」
「それで父さんが迎えに行ってくれて、そのままベッドに寝かせたの」
「……ご迷惑を掛けました」
「それはお父さんに行ってあげて。門番さんなんて初めは死んでいるのかと心配したそうよ」
「そ…そう。後から礼を言って来るよ」
「そうなさい」
気を取り直そうと空間収納からお土産を出してテーブルの上に並べていく。ついでに金貨も一袋。
「そう言えば村長さんから伝言が有るわよ。目を覚ましたら来て欲しいそうよ」
「えっ、目が覚めたらって……」
「えぇ~ 村長だけでなく村の人み~んな知ってるわよ」
これだから小さい村は嫌だ。直ぐに話が広がる。
あぁ~ 外に出たくない……
「おぉ~い。チョコラは気が付いたか~~」
大声を上げて入って来たのは村長だった。




