第百六十七話 ドラボックルおびき出し作戦
ルーバの説明では体長が50センチほどのスモールドラゴンの一種で、妖精のコロボックルが被っている三角帽子のような角が頭に有る事から別名ドラボックルと呼ばれていて、角を生かした戦闘能力はスモールドラゴンとはいえ強く、ドラゴン特有の砲号と俊敏さ生かした体当たりはという脅威だという。
『しかし、スモールドラゴンよりも少ないドラボックルなどめったに見る事は無いはずだが……』
ルーバも不思議がっていた。
とにかく、今夜は遅くなるから明日にでも確かめてみる事にしよう。
その後、町長さんから歓迎の宴を開くと言ってくれたが、ルーバの意地悪で疲れた事から遠慮した。
門番さんに宿の場所を聞いてやっと落ち着く事が出来た。
しかし、陛下もなにを触れ回ってくれてんだよ。俺はクリーニング店の店主であって冒険者じゃ無いんだぞ! そんな事を思いながら宿が用意してくれた夕飯を済ませるとそのまま朝まで爆睡をした。
翌朝、門番さんにドラボックルが住み着いたとされる場所を詳しく聞いた後、ティガスの街を後にした。
『おい、昨日は爆睡してたようだが何か考えがあるのか?』
「うん。ちょっとした考えはあるんだ。それでルーバにもお願いしたいことがあるんだけど」
『話し合いで説得と言うのは嫌だぞ』
「なんでだよ!」
『向うが話に乗ってくるかどうかも分からんのだぞ』
「そうだけど…… とにかく頼むよ」
『レーちゃんはお話しするのなの』
「ありがとうレーちゃん」
レーちゃんの優しい言葉を受け、ジト目でルーバを見る。
『分かったわ、話をすればいいのだな。でもどんな結果になっても責任は持たんぞ。それで良いな』
「いいよ。ありがとうな」
そうこうしている内に問題の場所辺りにやってきた。
ここは街道が森に入り普通に30分程歩いた当り。ルーバに索敵をして貰っているが今のところ反応はないようだ。
俺は街道から少し森の中に入り、適当な広さが有る場所を見つけるとそこで昼飯を用意する事にした。
もしかしたら匂いに釣られてやって来るかもと踏んだからだ。
『こんなところで飯の用意とか無防備だな』
「良いんだよ。匂いに釣られて来るかもしれないだろう。それを待ってんだから」
『念のために結界を張っておくが、本当に来るのか?』
「大丈夫。食料を襲うんだからきっと来るよ」
本来なら作り置きで簡単に済ませる処、今回は特に匂いが強い焼肉をこの場で焼いている。しかも親鳥さんにお願いをして匂いを拡散してもらってもいる。これで絶対に来るはずだ。
『ご主人様~ 何かが近くに居るのなの』
「おっ、いよいよおいでなすったか」
その時、ルーバの結界に何かが当りド~~ンと大きな音がした。
よく見るとそこには三角帽を被った小さなドラゴンが居た。




