第百五十九話 持ち込まれた盗品
キッカの販売力とマルサ―ルの真贋能力が向上して来た事で不用品の買取りを再開することにした。
買取り再開の初日。買取り希望だと言って男のお客が大量に品物を持ち込んで来たのでマルサールは一つ一つ丁寧に確認をしていた。
「店長。ちょっと見て欲しいものが有るんですが……」
マルサールがわざわざクリーニングをしている俺の作業場までやって来た。
「これなんですが、見た目は何処も悪い所は無いのですが、買取り不可と出るんです。しかもこれだけでなく他のも……」
「そうなの? ちょっと待ってて」
俺は手を洗い、鑑定をしてみた。
「これ、盗品だね」
「盗品ですか……」
「他にも有るって言ってたね。たぶんだけど全部が盗品じゃないのかな?」
「どうしたら良いですか?」
「そうだね……」
マルサ―ルには半分の買取りを、アントンにはこのまま裏から近衛隊を呼んで来てもう用に指示をして親鳥さんを呼んだ。
店の奥からマルサ―ルが対応しているお客を親鳥さんに覚えてもらう。
「あの人がお店を出たらどこの戻るかを見届けて来てほしいんだ」
『あの者がどうかしたのか』
「あの人ね、泥棒さんなの。もしかしたら仲間が居るかもしれないから隠れ家を調べて来てほしいの」
『分かった。その代り……』
「分かったよ。この件が終わったらレーちゃんとお出かけしてきても良いよ」
『約束だぞ』
親鳥さんと約束をすると出てくるのを表で待つと飛んで行った。
「今回はこちらの予算も有りまして、これだけを買取りさせて頂きます」
「もう少し何とかしてもらえないか?」
「ちょっと待ってください店長と相談してみます」
マルサ―ルが奥にやった。
「あとどれくらい時間を稼いだら良いですか?」
「こちらの準備は終わったからもういいよ。あと全部買取ってあげて」
「良いんですか?」
「他に売られて回収が出来なくなるより良いからね」
「わかりました」
「お待たせいたしました。店長に確認したら全部買取りの許可が出ましたのですべてを買わせて頂きます」
「それは助かる」
「では再計算した結果、買取り価格は金貨5枚になります」
「それで構わん」
「ではこちらが買取った物を記した一覧ですので確認の上、住所とお名前をお書きください」
「これで良いか?」
「はい。確かに。では金貨5枚です」
俺は店奥から様子を伺い、親鳥さんに「もう直ぐ出て行くよ」と念話を送った。
「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしています」
マルサ―ルが店先まで見送っていたのを確認したかのように親鳥さんは男の後を追っていった。
「店長、あれでよかったんですかね?」
「大丈夫だよ。だけどよく見分けられたね。凄い進歩だよ」
「はい。店長のお蔭です」
「でも、まだまだ鑑定には程遠いからな。精進して進化させるぞ」
「はい」
「キッカもご苦労さんだった」
「いえ、私は見ていただけで何もしていません」
「そんな事ないよ。マルサ―ルが離れてた時に何気に繋いでくれていただろう」
「…………」
「みんなありがとうな。奥で少し休憩をしてきなよ」
「ありがとうございます。行ってきます」
お客も帰り、2人をねぎらったいた来た時にアントンが戻って来た
「近衛隊の方を連れてきました」
「ありがとう。奥で休んで来て良いよ。二人も休んでるから」
「はい。行ってきます」
アントンを見送り、呼んで来てくれた近衛隊を見るとその中に副隊長のカルラさんがいた。




