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第百五十四話 3人への課題(キッカ)

ここまでアントンとアルサールに話をしてきた。残るはキッカだね。


「最後は私ね。私はどんなスキルがあるの?」


待ちくたびれたと言わんばかりに興味津々だ。そりゃ自分の事だから気になるのはしょうがないか。


「キッカが持っているスキルは商人だよ」

「商人? やった~」

「分かってると思うけど。商人は今のキッカみたいに喧嘩っ早い人には向いてない。分かるね?」

「そうだぞ。キッカは直ぐ怒るし暴力反対!」

「うん……でも優しい所もあるから大丈夫だよ」

「アントンありがとう」

「喧嘩っ早いのが悪いとは言わないけど、商人に大切な事は相手の気持ちをいち早く察する事だよ」

「どういうこと?」

「お客さんと話をしている中でこのお客は何を求めているのかを探り出し、そこを満足させてあげられればお客はキッカの事を信用してくれるようになる。そして決してお客を騙してはしけないよ」

「それは分かるわ。今まで私も嫌な思いをしてきたもんね」

「そうだそうだ」

「うん。見かけだけで店にも入れてもらえない事もあったし……」


2人からも揶揄われちょっと不貞腐れかけたキッカだったけど自分が受けてきた事を思い出したようだ。


「そうだね。だからどんなお客さんでも平等に接する事が大事だよね。些細な事だけど信頼とはいついかなる時も誠実に対応する事の積み重ねでしか得る事が出来ない。今までみたいに喧嘩口調でいるといつまでもスキルが開花しないぞ」

「わかったわよ。気を付ける……」

「このスキルは店に一人でもいるとどんな店でも成功すると言われ、お店にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルなんだ」

「そんなに凄いスキルなの」

「商人は冒険者と同じで誰でもなれるからな。自分で始めますと言えば始められる。俺もその中の一人だしな」

「そうなの?」

「そうだぞ。みんなも知っていると思うが俺は何度も仕事をクビになり、クリーニングのスキルを磨いてこの店を開いたからな。商業ギルドに登録したのもつい最近だ」

「で、私の課題はなんなの?」

「キッカには古道具の販売をしてもらう。商品の特徴を覚えてお客さんとの話の中で一番マッチした物を薦めて売る。これだけだよ」

「課題は無いの?」

「それも自分で見つけなさい。2年後にはキッカに自分のお店を持ってもらうつもりだから」

「私、自分のお店が持てるの? 本当に?」

「本当だ。だからキッカにも給金の一部を開店資金のために俺の方で貯めて置くから少なくなるぞ」

「わかった。それまで我慢するわ。早くお店を出して教会の子たちの仕事場を作るわ」

「うん。ぜひそうして欲しい。足りない分はアントンと同様に俺が出すから心配せずに仕事をしてくれ」

「まかせて。私やるわよ」


もともと勝気なせいか気合十分というかなんと言うかやる気に満ち溢れたオーラを纏っていた。


「あの……」

「どうしたマルサ―ル」

「俺は給金の減額は無いのですか?」

「そうだね。マルサ―ルは鑑定で独立しても支度金も要らないからな……」

「それなら今は使い道が無いかも知れない度、アントンやキッカと同じだけ俺の給金も貯金しておいてください。俺だけ多く貰うのも気が引けるし……」

「あら、気にしなくて良いのよ」

「そうだよ。俺は学校に行くのに必要だから我慢できるけど、マルは我慢する事ないよ」

「良いんだよ、同じ条件でやりたいんだから」

「わかった。マルサ―ルが良いのなら俺の方で貯金しといてやる」

「でさぁ~ 給金っていくらもらえるの?」


やはり聞いて来たのはキッカだった。金銭感覚はしっかりしているようだ。


「みんな同額で月に銀貨30枚。ここに居れば食費と家賃が要らないから20枚は貯金に回すから手取りは銀貨10枚だ」

「「「…………」」」


あれ? 変なこと言ったかな??


でも1日銀貨1枚が相場だからおかしくないよね??


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