第百五十一話 3人がやって来た
今日はいよいよ孤児院から3人がやってくる。園長先生の話では朝の奉仕活動の後、朝食を済ませたら退院する事になっている。迎えに行こうかと提案をしたけど「自分たちで行けるから待ってて欲しい」と3人から言われ大人しく待っているところだ。
気を紛らわすために店は開けているが3人がきたら閉めるつもりだ。多分だが着る者とか身の回りの物を持っていないだろうから買い出しに行く予定にし、戻って来てから仕事の話をすることにした。
すでに一番懸念していた食事についてはうまいっ亭で三食とも用意してもらえるようにタージさんとミハルさんにお願いをしてある。うまいっ亭の休業日は前日に俺が受け取り空間収納で保存する事にした。そして長期にわたり俺が留守にするときは休日でも用意してくれるとミハルさんが言ってくれたので二つ返事でお願いをしたら食事代は当然だが他にも月一でレシピを提供する事になってしまった……。
あぁ~ リプトンさんの笑い声が聞こえて来そうだ。
「こんにちは」
「お世話になります」
「よろしくお願いします」
昼少し前に3人がやって来た。見たところ荷物は小さな風呂敷包み1つで思った通りと言ったところだった。
「よく来てくれました。今日からよろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
「では君たちの部屋に案内するから荷物を置いたらすぐにみんなで出かけるからね」
「こんな良い部屋……使って良いのですか」とアントンが言う
「隣の部屋がマルサ―ルの部屋ね。一番奥がキッカだから」
「えっ、俺にも部屋が在るんですか?」
「もちろん有るよ」
「俺はてっきりアントンと同じ部屋だと思ってました」
「お…俺もマルと同じだと……」
そうか…… 教会では一部屋を6人で使っていたからな。急に一人になるのは寂しいのかもしれないな……
「一人だと落ち着かない? それなら君たち二人で二部屋を好きに使うと良いよ。このタンスを退かすと隣の部屋と繋がるからね」
「わかりました。アントンと相談します」
「じゃ、15分後に店の方に来てね」
「「はい」」
「じゃ~キッカはこっちね」
2人から少し離れた部屋にキッカを連れて行く。
「ここがキッカの部屋だから自由に使って良いよ」
「えぇ~アントンたちの部屋より狭くないですか?」
「それは化粧台とか男子の部屋にはない物が置いてあるからね。その分狭く感じるんだよ」
「そう。じゃ~お仕事頑張ってあげるわ」
強がった言い方をしては居るが嬉しそうな表情を隠せていない所がキッカの可愛いところかもしれないな。
「期待しているよ」
「わかった」
「では10分後に店先に来てね」
「はい」
ふたたび3人が揃ったところでうまいっ亭にやって来た。タージさんとミハルさんに紹介を兼ねて食事をするためだ。
「紹介するね。この店の店主でタージさんと奥さんのミハルさん。そしてミハルさんの妹でミリアさん。君たちの食事はこのお店にお願いをしてあるからね。朝と夜は一緒に来ても良いけど、昼は店番を一人は残して交代で食べてね。そうそう。好きな物ばかり頼めないようにメニューは選べないから、出された物を食べてね」
最後の注意事項は大事だ。栄養が偏らないようにするためには好き嫌いは無い方が良い。
「この3人がこれから俺の手伝いをしてくる子たちです。右からアントン・マルサ―ル・キッカです。
ご挨拶して」
「アントンです。よろしくお願いします」
「マルサ―ルです。お世話になります」
「キッカです。よろしくお願いします」
「タージだ。よろしくね」
「ミハルよ。チョコラの事お願ね」
「任せてください。私が居れば大丈夫よ」
「あら、キッカちゃんは頼もしいわね。チョコラに相談出来ない事が有れば私に何でも言いなさい」
「えっ、そんなのが有るのか?」
「バカね。女の子なのよ。男の人には言えない事も有るのよ」
「そんなものなのか?」
「そうよ。ミハルお姉さん、よろしくお願いします」
「やだ! お姉さんだなんて~ もう~~キッカちゃん可愛い」
そうか、これが商人スキルの片鱗か…… 人を乗せるのが上手いな。これは気を付けようと密かに思うのだった。




