第十五話 神職目録開示の儀
洗濯も終わり、次は何をしようかと考えても俺に出来ることは掃除くらいらいしかない。子供たちと一緒に廊下の掃除をすることにした。俺が汚れを落としていき、子供たちが水拭き。最後に俺が乾拭きと役割分担をしてみた。
バケツに石鹸水を付け軽い汚れは擦り落とし、酷い汚れは石鹸水で付け置きのようにしてから擦り落としていった。乾拭きをした後は見違えるように綺麗な廊下があった。
これには副院長さんも驚いていたが、報告を受けて見に来た神父さんも驚いていた。
そろそろ洗濯物も乾いただろうと取り込んでそれぞれの持ち主別に振り分け始めて時に子供たちからビックリするような声が挙がった。
「これ新品になってる」
「破れてたことが直ってる」
「これ……俺のかな?」
「私のもよ……」
ボロボロだったすべての服が新品同様になっていたことに孤児院の先生も驚いて、これは神父様と相談しなくてはいけないのではと思っていた。
報告を受けた神父さんはチョコラを呼ぶと、とある部屋に連れて来た。
「チョコラ。ここに在る水晶を右手に。左手でこちらのヒスイに触れなさい」
言われたままに触れると神父さん不死鳥の羽で作った杖を額に当て少しずつ魔力を流していった。
いま神父が行っているのは神職目録開示の儀。これは高位の神職にしか出来ない儀式で個人が本来持っている技能を調べるための儀式で、一般的には15歳で教会で適職付与の儀を受け、それぞれ進む道を決めていくがたまに不適合もしくは未知と出る者がいる。そんな時に更に詳しく調べるのがこの神職目録開示の儀だ。
この名がついているのは生まれ時にすでに神から特殊な能力を授かっている者がいてそれを確認するための特別な儀式なのだ。
氏名 チョコラ
年齢 23
能力 再生・創造
適職 能力を生かす職すべて
魔法属性 聖・光・火・水・風・土・空間・精製
能力レベル
顕れた情報に神父は言葉も出てこなかった。
儀式を終えたチョコラは神父さんから聞かされた再生能力が開眼したことで、洗濯や掃除をすることで再生能力が働き新品同様になるのだと聞かされたのだった。