第百四十話 パティ―パーティーオープン式典
内覧会が終わった5日後、再び招待を受けた。今度はオープンセレモニーだとか……
その後、記念する一組目の披露宴が行われるらしい。俺は関係者枠でセレモニーに出て欲しいと言われた。ちなみにタージさんは厨房で、ミハルさんはホール係りとして応援を頼まれて行くそうである。
オープンの朝、俺がそれなりの衣装に…と言っても普段着に毛の生えた様な物だが一応俺の中で一番いい服だ。もちろん陛下が王太子時代にくれた礼装を除いてだが……。だってあれは王城に呼び出された時以外は流石に着れないね。
今日も特別な料理を食えると楽しそうにしていたルーバは今回は食事が出ないと聞くと急に興味を無くしたように家で寝ているというし、レーちゃんは付いて行くと言うのに親鳥さんが『今日は神界で我と遊ぶのじゃ』と言って連れて行ってしまった。
要は食い物が無いと付いてくるきが無いと言葉で言わないけど態度が示していた。でも大事な式典で多くの人が居るから目立たないためには丁度良いのかも知れないとも思ってしまった。
会場に着くとすでに大勢の人が遠巻きに集まっていた。
建物正面には一段高い仮設ステージが設けられていて、横には音楽隊。そして最初のお客なのかタキシードとウエディングドレスを着たカップルも居てつい二人に見とれてしまった。決して二人が羨ましいからではない。衣裳に見とれていたのだ。そう、衣裳に! そこだけは強調しておこう。
コミュレットのスタッフが俺を見つけて関係者席に案内をしてくれた。どうやら受付に来ない俺を探してくれていたようだ…… 迷惑を掛けてすいません。
やはり慣れない場所に来るものでは無いと心の中で反省をしながら席に着く。
セレモニーの開始に合わせて音楽隊が演奏をはじめ、オープンを祝う気分を盛り上げたところでオーナーのジュグレさんが挨拶をした。要約すると親しい人と共に喜びを分かち合え、幸せの門出の嬉しく楽しいひと時のお手伝いが出来る事を嬉しく感じますと言った内容だったはず……?
ジュグレさんのあいさつが終わると仮設のステージも片付けられて玄関前を遮るものが無くなり、よく見ると玄関前にはリボンが張ってあった。そしてスタッフの案内でジュグレさんと最初のカップルに、なぜか俺までそのリボンの前に立たされ戸惑っている所にハサミまで持たされた。
事前に何も聞いてなかったのでこれから何をするのかも分からなったが、司会の「それではテープカットです。ご用意をお願いします」と言ったので、横に立っている新婦さんの真似をしながらテープを持ちハサミを当てた。そして司会の合図とともにリボンを切った。
田舎かから出て来て仕事に追われていたから、オープンセレモニーなどいうのは初めての体験で、心臓が飛び出しそうなほどドキドキしたけど無事に役目を終えた安心感からか膝の力が抜けてこけそうになったのを何とか我慢して自分の席に戻ると司会のセレモニー終了の合図で正面のドアが開き、最初のカップルの披露宴に出席者すると思われる人々が中に入って行った。




