第百三十一話 お店が大繁盛
今日は早くから起きて王城の作業を終えた後、急遽行われた国王陛下からの重大発表にも立ち会わされ気疲れモード全開で帰宅して来たのは良いが、なぜか店の前に行列が出来ていた。
俺が店に入ると開店準備の間もなく「この服を頼む」とほとんどの客が同じ依頼で疲れを癒す暇も無く、この状況に流されるしかなかった。
なかなか客が絶えないので一人の客に聞いてみた。
そしたら、一月後に行われる新王の戴冠式が王立闘技場で行われ、国民にも公開される事になり、その後は闘技場から王城までパレードも行われる事も合わせて発表されたので、その日に着るためにとオシャレ着や礼服など一張羅とも言える服を俺の店に持ち込んできたという事だった。
それも俺の店に依頼すると古いのでも新しくなると言う口コミを思い出しての行動だと教えてくれたのは良いが、新しく新調するより安いのが助かると言い残して帰って行った。
別のお客は新調しようにもすでに仕立て屋さんは新規注文をストップした店が多く、頼めなかったらしく、急いで一番いい服を洗濯してもらおうと持ってきた。たぶん俺と同じようなお客がこの店に押し寄せているのじゃないかと教えてくれた。
何だかんだと僅かな時間で預かった衣服が250点にも上った。衣服だけでこの数は開店以来初めてでもあった。
まさか不死鳥のキラキラを隠すための目隠し作戦がこんな結果をもたらすとは夢にも思ってなかった。というか、考えも付かなかった。ルーバの意見を何も考えずに良い案だと乗った事。それがとんだ浅知恵だったとは…… 今思い知らされた気分だった。
もうこれ以上は引き受けられないとおれは急いで店の表に張り紙を出した。【本日の受付は終了しました】と
しかし、山と積まれた衣服を見るだけで今日の疲れが倍増したようだった。
そう言えば、戻って来てからルーバとレーちゃん親子の姿を見てないがもしかしたらうまいっ亭か??
でも今この戸を開きたくない…… 開いたが最後、さらに衣服の山が増えそうだ。隣に行くなら裏からだな。ちょうどお腹もすいていたので俺もうまいっ亭に行くことにした。仕事は腹ごしらえをしたあとだな。
うまいっ亭の裏口から厨房に入るとタージさんから声を掛けられた。
「今朝は派手にやったらしいな」
既にタージさんにはバレていたようだ。
「……何のことかな?」
「王城の光だよ。お前このところ庭で何か練習していただろうが」
あぁ~ これは完全だ。誤魔化せないわ。
「ははっ… やっちゃいましたね……」
「でも良かったじゃねぇか。仕事の依頼が増えたろうが。相当前から客が並んでたぞ」
「はい。それは物凄く……」
「まぁ~ 自業自得だ。しっかりやれよ。明日はもっと多くの依頼が有るはずだから儲けられるぞ」
「……どういうことです?」
「そりゃお前。評判が良いクリーニング屋だからな。お祭り用の衣装を持って集まってくるさ」
不吉な予想をするタージさんに俺は苦笑いをするのがやっとだった。




