第百二十八話 仕事を終えて
陽が昇り王城に反射する光が落ち着いた頃、レーちゃん親子が戻って来た。どうやら親子で飛べたことがよほど嬉しかったのかまだやりたいと強請って来たが諦めてもらい、王城を包んでいた障壁を解くと、そこに現れたのは長い年月で黒ずんでいた城壁が真新になり石独自の模様と美しさを醸し出していた。
チョコラはルーバに乗って業者用の門に行き、警備兵に案内されて殿下が待つ部屋へと向かう。
途中、敷地内の様子を見てみたが、こちらも敷石は輝き、樹木たちは凛々しく葉を伸ばしているように見えた。こちらも上出来とひとり悦に入ってしまったね。
城内に入り殿下の部屋に通された。ここまでの通路に飾ってある装飾品や部屋の状況を見てもきっと完璧に復元されているだろうと確信が持てた。それは前回来たときよりも廊下が明るいのだ。壁も天井も床も見る物すべてが輝いていた。これだけしか見てないけどレーちゃん親子の霊力に改めて感心し感謝したよ。二人ともありがとう。
その頃、王太子のクラムはチョコラがどのような事をするのか見届けようと側近たちに城の周りを監視させたが、正門辺りに居ると報告を受けたあと急ぎ向かったが既に姿を見失っていた。
それから直ぐと言っていいだろうか。王城全体にキラキラした光が降り注いできた。直ぐに不死鳥様が飛んでいるのだと理解したが、どうして日の出と共になのかが分からなかった。事前に不死鳥の光を誤魔化すためとは聞いてはいたが、それをどうやって誤魔化すのかと思った時だ。突然目も開けられて居られない程の光に包まれた。クラム自身もこれほど強い光が来るとは思っても居なかったからただ収まるのを待つ事しか出来なかった。やっと目を開けられるようになった時には不死鳥の光も無くなっていた。そして目にしたものは石の模様で美しく輝いた城壁だった。
「殿下。チョコラ殿が本日のご報告を致したいとお目通りを願い出ておりますが如何致しましょう」
「私の執務室に通してください」
チョコラ殿からの報告か……。一体何が起ったのかは直接聞くことにしよう。
「殿下。先日申した通り、王宮から城壁まですべての復元が不死鳥の親子の霊力を借りて全てが完了致しました」
「ご苦労様でした。ところで、あの目も開けられない程の光は何だったのですか?」
「あぁ~ あれは城壁の周りに光の障壁を張った処に朝日が反射したせいで起こった現象です」
「えっ?城壁の周りに障壁を張ったのですか」
「そうだけど……事前に説明しましたよ」
「…………」
「なにか不味かったですか?」
「いえ、早朝でしたから大丈夫でしょう……」
しかし、チョコラも王太子も市井での騒ぎをまだ知らないでいた。
時は同じ王都では……
その日の朝、王都の広範囲が王城からの光に包まれ、早朝から働く人たちのほとんどの人がその光を浴び、王城の発光を目撃していた。中には王城に向かい祈りを捧げる人も……
全ての住民が動き出すころには王城が光、神が降臨した。これは吉兆のお告げなど熱狂していのだった。




