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第百十七話 いきなり親子喧嘩か……

いつの間にか部屋にやって来た国王陛下に俺も殿下も驚いた。


「クラムよ。好き勝手言うではないわ。余はその方に王位を任せても良いと判断したから禅譲を決めたのだ」

「建前だけなら何とでも言えます」

「建前だと。ではお前は王になりたくはないと言うのか!」

「なりたいですが、それは今ではありません。陛下が体力的も気力的にも難しくなってからです」

「わしにとってはそれが今何じゃがな」

「宰相たち重役は戸惑って居られます」

「お前までヨボヨボになるまでわしに働けと言うのか!」

「ヨボヨボとまでは言いませんが、あと30年。いえ、少なくとも20年は行けます」

「それでは妃との時間が無くなるわ」

「…………母様は関係なかったのでは??」

「あっ…………」


思わず本音を漏らした陛下だったが、気持ちを立て直すのが早かった。だけど、ここで言い争いは止めて欲しい。居心地が悪すぎる……


「とにかく、これは既に閣僚会議で決定したことじゃ。いくら王と言えど会議での決定を覆すことは出来ぬ。わかったな」

「はぁ?? かなり覆しているように見えますけど……」

「あれは決定前のことだ」

「そうでしたか??」

「そ…そ……そうじゃ。決定前だ」

「ではこの件もいつものように仮決定で本決まりで無かったことに出来ますよね」

「…………」

「なんなら議事録を確認しましょうか」

「もう良い!。決定は変えぬ。わしは隠居するんだ!」


そう言い残し陛下は出ていかれた。いったい何しに来たんだろう……


「殿下…… 本題に戻りませんか?」

「そうであった。恥ずかしい所を見せてしまいましたね」


やっと話を本題に戻し、殿下が同行するのは朝12時から15時まで。時間外は外壁や庭を監視なしで行えることになった。納期は宰相様が提示した禅譲の儀の一月前となり、こちらからの条件として騎士団や近衛隊で交わしている契約を白紙に戻すことを提案した。ほんとカルラさんの監視は地獄だよ。飯どころか用足しにも行けなかったんだ……。それより何と言ってもあの視線。あれだけは思い出しても震えがくる。俺は近衛隊員ではないからあの視線に免疫が無いんだよ……。


「わかった。王城の作業を優先して欲しいからな。両隊には私の方から伝えておこう。それでいいかな」

「はい。念のために、契約解除の覚書を頂けると助かります」

「わかった。後ほど届けさせる」


さすが殿下。話が早い。


「それで、作業の開始は何時からにしますか?」

「私も付き沿うにあたり調整が必要だからな。来週からでどうだ?」

「わかりました。こちらも助かります」


結局、家に戻ったのは暗くなってからで仕事が出来ずじまいに終わった。


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