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第百十二話 うわさ

レーちゃんの親鳥が来るようになって10日。ほぼ毎日?? いや、毎日だね。うん。毎日来てるよ。

『親が子に会いに来るのに理由が居るのか!』とすでに開き直っている状況さ。

まぁ~いいけどね。大人しくしてくれているうちはだけど……


先日タージさんにも言われてしまった。「お前の所は神獣の集会場か」ってね。

そりゃ毎日飛んでくるから目立つよね……

でもレーちゃんが楽しそうだから良いことにしているよ。


今朝は食料の買い出しにルーバを連れて市場に来ている。レーちゃんはお留守番だ。なぜかって??

もれなく親鳥がついて来るからな。それだけは回避したいからだよ。


しかし、実際の不死鳥はお伽噺に出てくるような派手は容姿ではなく、どちらかと言うとグレー一色でモズに似た色だけど大きさがね…… 鷹より大きいんだ。それはそれで目立つと思うんだよね。

とにかく、親鳥までは連れて来れないのだ。


『おい。あそこの串焼き買ってくれ』

「さっきご飯たべたじゃん」

『あれは朝飯。これはおやつだ。別物だ』

「……」

『早くしろ』

「分かったよ……」


レーちゃん親子の分はお土産も合わせて串焼きを大量にかった。


市場で買い物をしていたらあちこちで「近く禅譲があるようだぞ」と聞こえてきた。なんの禅譲だろうかと少し気にはなったが俺には関係ないか……と気にしないことにした時だ。


「王様はまだ元気だよな。なんで今何だ?」

「そんなの知るわけねぇだろ」

「でもよぅ~ 王太子殿下ではまだ若すぎねぇか」


なに?? 禅譲って陛下が隠居するって事??


そう言えば最近ってか、あれだけ頻繁に来ていた殿下がまったく来ていないことに気付いた。

単に忙しいだけかと思っていたけど、まさかね……


「おい。あそこに居るのは王家のご友人じゃねぇか?」

「ほんとだ。ご友人なら知っているかもな」

「でもよぉ……禅譲の話は本当ですかって、お前聞けるか?」

「はははっ…… 聞ける訳ねぇだろ」

「だよな……」


やばい。絡まれない内にこの場から離れなければ……


例のパレードのせいで俺も出歩きに難くなっている。最近は興味の引いてきたからか直後よりは歩きやすくはなっているが、まだまだときおり囲まれることが有るんだよな……


しかし、凄い噂を耳にしたな。火の無い所に煙は立たないというけど、真実味は薄いよな……

そんな事を思いながら家に帰って来た。


さて、そろそろ店を開ける時間だ。今日もがんばるぞ。


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