第 百 話 工賃はいくらだって?
予定より少し伸びたがレーちゃんの活躍で無事に依頼が完了した。そして今はジュグレさんの執務室に来ている。
「ありがとう。まさかここまで復元されるとは期待以上の出来で驚いたよ。本当にありがとう」
「いえ。こちらこそ予定より延びてしまいすいませんでした」
「予定は半月強。開始から17日。予定通りだろう」
「そう言ってもらえると助かります」
「では、代金だがいくら欲しいかな?」
あっ……そう言えば計算してなかった。「ちょっと待っててください」と断りを入れ考える。
あれがあれで……これがこうで。それがそれでそうなると……
「お待たせしました。銀貨15枚になります」
「はぁ~~~~~~ 銀貨15枚??? 金貨の間違いだろう!それでも少ないわ!!」
「いや……ほんとに……」
「どんな計算したらそんな安い額が出てくるんだ?」
「えぇっと…… 一部屋に付き銅貨5枚で大広間は5部屋分頂いて……」
「銅貨5枚って…… もういい。こちらで金額は決めさせてもらうからな」
ふつうに話してもらってもと言ってからジュグレさんの口調が強くなってきてるような気がするのは気のせいか?? そんな他事を考えていたら目の前にドンっと麻袋が置かれた。
「今回の代金だ。そのまま持って帰れ。多いとかは言わせないからな」
その時、ジュグレは思っていた。これじゃ客が適当な金額を置いて行くはずだと。そう。ジュグレは予想していたのだ。ドン引きするほどの安値を請求してくることを。確認として取り敢えず聞いてみたがドン引きを通り越して一瞬凍ってしまった。まさか店頭と同額の銅貨5枚を基準に請求されるとは考えも付かなかったからだ。事前に用意をしておいて良かったと心から思っていたのだった。
チョコラは麻袋を除くと金貨が大量に入っていた。パッと見でも200枚は有りそうだ。
先に「多いとは言わせない」と言われたけど本当にこんな大金を貰ってもいいのだろうか不安になった。
「あの……」
「多いとは言わせぬぞ」
「……はぁ~ ありがとうございます」
「それでいい。まともにやればその代金の何十倍もするし、期間も1年は掛かるだろう。私にとってはそれでも安いくらいだ」
「いえ、これ以上は……」
「判っておる。そこまでに抑えた私の気持ちも察しろ」
「……はい」
代金を半ば強引に受け取らされてチョコラは家に戻って来た。俺も明日からは普通に店を開くつもりだ。今日はゆっくり休もうと風呂で疲れをほぐすと早々に床についた。
それから3日ほどしてコミュレット創業500年謝恩パーティーの招待状が届いた。
平素、本作をお読みいただきありがとうございます。誤字脱字報告をして頂いた皆様方。ありがとうございます。この場を借りてお礼を申し上げます。
今回、100話目を迎えることができました。これも日ごろからご支援頂いている皆様のおかげだと感謝しております。戦闘シーンが無い作品なので物足りないかも知れませんが、これからも引き続きご支援のほどを頂けますようにお願いを申し上げます。




