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4 快適なセカイ
このセカイは快適だと思う。
なにせ、毎日同じ服で良いし、歩きつかれる事もないし、お腹が空く事もないのだから。
無尽蔵といえる体力(タタカイ に巻きこまれた時のみ、思いだしたかのように自己主張してはくるが)に身を任せて、目的もなくぷらぷらと街や野原や海や洞窟を散策できる。
理論的に言えば、衣食住の定まっていない生活ほど息苦しくて悲しいものはないといえる。
しかし、このセカイではむしろ衣食住が邪魔でしかないのだ。
今日は何を着ようか。
今日は何を食べようか、そのためには何を調達すべきなのか、自分の予算と相談する。
帰るべき場所は決まっている、そう、自分の「家」だ。
……。
当たり前の事だけれど、よくよく考えてみれば面倒くさくて繰り返すことばかり。
この三要素によって、いかに自分のジユウ が束ばくされていたのか、最近になってみてよくわかった。
このセカイでは「選択」する意志だけをもっていれば十分。
他にわずらわしい事は考えないで、ジユウ に身体を動かしていればいいのだ。
もちろん、トイレに行く必要もないよ。