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2 レディオ・シティ
海原のような草むらをぬける。
現われた一本の細い道をなぞって、ちいさな集落に入った。
ふと、ショルダーバックの存在に気づいた。
ヴァルタは持ち物 を探った。
バナナが入っているようだ。
1つ消費する。
リンゴの味がする……タイリョク の値が回復した。
てくてくと集落を歩き回ってから、中央の看板に歩み寄る。
虫食いがひどいが、どうやらレディオ・シティと書かれているようだ。
今では想像もできないが、それなりに大きな街だったのかもしれない。
衰退の波にのみこまれたコミュニティー。
その基調に合った雰囲気の家々が、てんてんとしている。
どの家も、捨てられているようにしか、見えない。
ヴァルタは一つの古民家に入った。
住人がいる。
それも、十人。
広々としていて新築のような内装だ――外観とのちぐはぐさが際立っている。
住人のひとりに声をかけると、なんの支障もなく会話がはじまった。