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1 フアンとアンシン

 目の前で光があふれだした。


 なんだろう。この感覚は。


 フアン が胸いっぱいに広がるのを感じる。

「やあ!」


 よこしまの服を着た少年が、こちらを見つめてほほ笑んでいる。

 やさしく、手を差しのべている。


 話してみる?

 しかし、選択の意志を待たずして、ヴァルタは自動的に宝物庫の外に出た。


 フアン の値が上昇し続けている。

 身体はテクテクと小走りを続けたまま。


 そびえたつ城壁が知覚の外に消えてようやく、フアン値は一定になった。


 強制的な力から解放される。

 自分の意志で、草むらの中に入ると、ヴァルタはばったりとイヌに出くわした。

 突然、「ピロピロローン」と耳鳴りが聞こえる。

 思考の全てが タタカイ に支配された。


 ようすをみる?

 たたかう?

 にげる?

 値をつかう?


 ヴァルタはようすをみた。

 攻撃力1000、防御力999、俊敏力10

 どうやらこのイヌはしゃべれるようである。


「ここが どこかって? おもしろいことを いうんだね」


 イヌは後ろ足で立った。

 サルのような声で笑いながら、バナナを投げつけてきた。


 ベルトコンベアーのように流れてくるバナナのパターンを把握すると、ヴァルタはひょいひょいとステップをふんだ。

 コウフン の値が上昇する。


 ようすをみる?

 たたかう?

 にげる?

 値をつかう?


 ヴァルタはたたかってみた。

 しかし、武器がなかった。

 しかたなく蹴り上げてみたが、ミスで終わった。


「暴君、マコトが管理してる森さ」


 律義な説明文句。

 反面、前歯のかけたボロボロの歯でかみ付いてきた。


 ヴァルタに逃げ場はなかった。

 ダメージを1つくらう。


 なぜかヴァルタはアンシン を胸に抱いた。


 ようすをみる?

 たたかう?

 にげる?

 値をつかう?


 ヴァルタはアンシン を消費した。

 イヌの頭をやさしくなでた。


「ひえ! なんておそろしいことをしてくるんだ!」


 イヌがウキキと奇声を上げた。

 同時に、思考がタタカイ から解放される。

 気がついた時には、もうイヌの姿はなかった。


 ヴァルタ、勝利。

 イワカン の値が上昇した。

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