観測者
ホイっ!
よろしくっす!
小鳥のさえずりが聞こえる。
目には青い草原がひろがっていた。
「ぐわあ!」
暴君ヴァルタは血を吐いた。
マコトはすかさずその血をなめた。
どこかなつかしい、甘い味がする――傷が癒されるのを感じた。
「なんでだ! なんでお前なんかにぃいいいい!」
暴君の身体は風に消えた。
マコト、勝利。
ジシン をおおいに獲得した。
マコトは木の枝を腰にぶら下げると、怪しくもきらびやかに金色の光を放つ宝物庫へと足をふみ入れた。
うずたかく積み上げられた、ほこりの山。
しばらく様子を見ていると、その中から暴君の顔がひょっこりとあらわれた。
「ここはどこ?」
マコトはやさしくほほ笑んだ。
そのコの攻撃力が無に等しい事を理解した。
……。
……。
みんなから慕われる、このセカイが、マコトは大好きだった。
でも、それも、この瞬間をもってエンディングをむかえる。
だって、暴君を倒したという事は、つまり……。
オレガ ボウクンニ ナッテシマウ トイウコト ナンダカラ。
……。
視界が暗転した。
……。
エスケープが効かない。
……。
視界は真っ暗なままだ。
……。
……。
「ねえ、ナニをやってるの?」
……。
「まさか、ずっとこのまま、まっくらな景色を見続ける気?」
……。
「ヒマなんだねえ。それとも、お馬鹿なの?」
……。
「ハア。はやく消しちゃいなよ、こんなセカイ。それに、こんなことしてる暇があったら、好きなコと一緒にお花でも摘んでいた方がまだマシだと思うよ」
……。
「まだ消さないの? 強情だなあ」
……。
「そっか。そんなに、このセカイが愛おしいんだね」
……。
はい
いいえ
……。
「はい、か。それじゃあ、ひとつ、ボクからキミに、お仕事をあげるよ」
コノ マックラナ セカイニ モウイチド ヒカリヲ アタエテクレマスカ ?
はい
いいえ