プロローグ~女の子になった~
初投稿です。小説を読むことはあっても書くのは初めてなのでお手柔らかにお願いします。誤字脱字、内容がおかしなことがあったらご指摘いただけると幸いです。
最近、恭太貸してもらった小説に空から女の子が落ちてきて、その出会いがきっかけとなり主人公の周りで様々なことが起こっていくような本を読んだ。
恭太にはいろいろな小説を貸してもらったがこの出会い方は読んで間もないからかすごく印象に残っていた。
摩訶不思議なこともあるものだ…と…。
現実は小説より奇なりとはよく言ったものだな。
果てしなく続く青く澄んだ空を眺めながら思う。
どうやら俺は女の子になってしまったらしい。
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高2になってクラス替えが行われた。
始業式後しばらくした今は各々友人作りに励んだ結果仲の良いグループのようなものがいくつかできておりクラス全体が活気に満ちていた。
幸い俺、荻野 悠哉には去年から…というより昔から仲の良かった二人と同じクラスである。
「なあなあ!ゴールデンウィークにカラオケ行こうぜ!」
授業を終えたばかりというのに騒ぎ出す一部集団。元気なものだ。
それらにつられ他の生徒も仲の良い面子ごとに集まり、授業中の静寂とは打って変わってクラス全体が賑やかになっていく。
俺の前の席に集まっているグループの会話に耳を傾けると、こちらもゴールデンウィークの予定を話し合っている。
「なあ悠哉~。」
前の席の会話を聞いていると後ろから名前を呼ばれ、振り返る。
そこには昔馴染みの一人、成瀬 恭太 がいた。
「ゴールデンウィーク俺らもどっか遊びに行こうぜっ。とぅわっ。」
ニッと笑いながら俺の肩に手を置き体重を預けようとして来たのを避け、バランスを崩した恭太に答える。
「今年は稽古を少なめにしてあるから琴美次第だな。」
「っちょ、避けんなよ~。変な声出たじゃねえか。」
「知らん。」
恭太は小学生の時からの友人で中学に上がるとき引っ越し、別の学校だったが高校で再会した。
性格は明るく人懐っこいアクティブな奴だ。運動部に入っていそうな印象があるが帰宅部である。身長も高めで運動神経もいい方な恭太は去年引く手数多だったが、すべて断りアニメやゲームなどに執心している。ときたま恭太おすすめの小説を貸してきたりする。
友人も多い恭太だが学校以外では俺ら意外とほぼほぼつるまない。といった少し不思議なところもある。
「ひどくね!?なあどう思います琴美さん~。」
話を振られたもう一人の昔馴染みの女子、小鳥遊 琴美 は呆れた顔をしつつ答える。
「自業自得ね。それと私はこの日なら大丈夫よ。あんた達のために開けておいた貴重な女子の休日なんだからね。」
恭太を軽くあしらいつつも本題は忘れてないようで、スマホのカレンダーを見せながら空いてる日を指定してくる。
琴美は恭太と違い家も近いことからか幼稚園含め小中高とずっと同じ学校である。
性格は明るいながらも落ち着きのあるしっかり者だ。部活は弓道部に所属している。
恭太と違い琴美は俺たちだけじゃなく仲の良い女子が何人かとも学外でも普通に遊ぶこともあるらしい。ただ基本的に部活一筋で遊ぶことは少ない。
「貴重といっても他の日の予定なんて大方部活なんだろ。」
適当に流された恭太が訝しげに琴美を見る。
「誰のために予定を開けたかよくよく考えて喋ることね。部活に行っちゃうわよ?」
顔を少し背けながら片目で恭太をちらりと見やる琴美。
「すんません!言葉には以後気をつけさせていただきます!」
恭太はビシッと啓礼のポーズをとる。
調子のいい奴だなとやり取りを眺めつつ自然と頬が少し緩むのを感じる。
「まあいいわ。また去年みたいなのは嫌だもんね…。」
琴美も少し頬を緩めたものの去年のことを思い出し苦笑いを浮かべた。
恭太は琴美のつぶやきを聞き取れず苦笑いする琴美を見て頭に ? を浮かべている。
琴美の苦笑の原因は恭太にある。
中学の時の俺も琴美はあまり遊ぶことはせず各々稽古や部活に時間を割いていた。高校に入ってもそれは変わらずと思っていたが、久々に出会った恭太がそうはさせてくれなかった。
四月中はお互い忙しく遊ぶどころではなかったが余裕ができた高校生初の長期休暇にそれは起こった。
ようやく時間に余裕が生まれ、俺達と遊べると思い誘ったがが俺達は用事(稽古や部活)があったので誘いは断った。その日から毎晩九時から十時頃に俺と琴美の携帯に恭太から何回か電話やメールが来るようになった。
内容は実は稽古や部活が急に休みになって遊べないかというものだった。毎晩、毎晩電話やメールが届くのでしまいには二人が折れ休みを作って遊びに行ったというものだ。
それ以来俺や琴美は定期的に恭太と遊ぶようになったのだ。
そのおかげか両親たちの眉間の皴が少し薄くなった気がした。
閑話休題
そうしてしばらく他愛のない話をしていると、
「HRの時間だぞ~。座れ~。」
と担任の先生が教室全体にしっかり聞こえる声で呼びかける。
先程カラオケどうのと言っていたクラス委員の号令でHRが始まる。
先生がゴールデンウィークについての注意を述べていく。
斜め前の生徒はHRが始まって間もないというのに机に突っ伏している。
春の日を浴びすやすやと気持ちよさそうに眠るものだ。
不思議と見ている側まで眠気に襲われる。
俺は眠気を振り払うかのように軽く頭を振り周りを見回す。
するとほとんどの生徒は机に突っ伏したりうつらうつらとしている。
恭太は机に突っ伏し、琴美もウトウトとしている。
これでいいのかと先生を見ると、先生も眠気に襲われているのか目の周りを指でほぐしている。
先ほどまで騒いでいた生徒達全員が眠っているのは奇妙だ。
明らかに春の木漏れ日だけが原因ではないだろう。
催眠ガスのようなものでもないと不可能だろう。だがそれらしきものは見えない。
とりあえず隣の生徒を起こそうする。
しかし唐突に教室内の空気が変わり伸ばしかけていた手を引っ込め警戒する。
それと同時に先ほどとは違う強烈な、しかも強制的な眠気に襲われる。
ガタッと先生の崩れ落ちる音。
俺は眠気に少しでも抵抗しようと眠気に抗うように集中する。
しかし抵抗もむなしく瞼は閉じていく。
瞼が閉じきる前に周囲が白く光り光が収まるとクラスメイトの姿が跡形もなく消え失せていた。
驚く間もなく俺も白い光に包まれ眠りに落ちた。
俺はクラスメイトが消えた後に教壇に立つ黒ローブの姿を見逃さなかった…。
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真っ白な空間に俺の意識だけがあった。
ここはどこだ。と思うこともなくこの空間に意識があるだけだった。
その空間のどこからか若い男性の声が聞こえる。
「僕にはこれが限界です。あなたの知る神のような芸当は神ではない僕にはできません。今こうしているのもあなたのおかげのようなものです。」
若い男性の声は語る。
「神の加護とは言いませんがあなたに世界の加護がありますように…。」
その声は木霊し消えていった。
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背中に心地よい風を感じ眠りから覚める。
目を開くとそこには視界一面に広がる大空。
意識が明瞭としてくる頃には体中の血の気が失せ切っていた。
俺は大空の中身一つで落下していたのだ。
落ちているっ!?何故こんなことに!?
急に訪れた命の危機にパニックになりそうになりながらも呼吸を整え心を落ち着ける。
いくら心を落ち着けたとしても現実は変わらない。
このままでは死ぬ。
どうにかしなければ…。
とは言え、落下中の人間にできることなどたかが知れている。
ひとまず少しでも落下速度を落とすため体を地上に向け、できるだけ空気抵抗を大きくしようと大の字になる。
そこであることに気づく。
まだ地上まで結構距離があるな。
しかも湖の真上か。
周りは森のようだが真下にちょうど湖があるのは不幸中の幸いか。
生存率が上ったことにより少し気が楽になる。
だがこの大の字の体勢まま着水しようものなら地上に落下するのと大差ないだろう。
しかし飛び込みの経験、ましてや子の高さからの経験はなく下手したら頭に深手を負うか、最悪の場合即死か気絶からの溺死だろう...。
着水は足から行く方がいいか。
考えはまとまった為か感覚が麻痺してきたのか少し心に余裕が出てきた。
真下の湖とにらみ合っていた顔を上げて見えた景色は綺麗で目を奪われた。
朝陽か夕陽か判断は出来ないが地平線から除く太陽の淡い赤に照らされた空や木々も赤みを帯びている。太陽の光を遮るものもない俺も赤みを帯びているであろう。
ふと思い出す。
恭太から借りた小説の中に空から女の子が落ちてくるものがあった。
それは出会いに過ぎず主人公と共に想像だにしないような奇想天外な物語が紡がれていく。
空から落ちる女の子もこの景色を見れるのか...
女の子も悪くないものだな。
そう思う。
考え事を止め、改めて下を見ると湖は明らかに迫ってきており気を引き締める。
再び湖と睨み合いタイミングを見計らい大の字から足から落ちるように体制を変える。すると落下速度はさらに増していき遂に水面と接触する。
バッシャーン!!!
と水しぶきと轟音を上げ湖に突っ込む。
その時足に激痛が走る。
衝撃には備えていたがあまりの激痛に顔が強ばる。それでも落下の勢いが収まり激痛を堪えながらも浮上を試みる。
っ...!?足が動かないっ!!
足は伸びきったままこちらの言うことを聞かない。
腕だけで精一杯水を掻いても掻いても、浮上した距離は微々たるもので高所から落下した勢いで潜った深さをどうこうできるものではなかった。
絶望に打ちひしがれて脱力する。酸素を求め水を飲み込む。遂には腕も言うことを聞かず、体全体を寒気が支配していく。
最後にあの景色を見れたのは良かったな…
それを最後に俺は意識を手放した。
ゆるりとマイペースに書いていこうと思うのでよろしくです